世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年7月17日

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 この社説は、的を射ています。今回の文在寅大統領の決定は、理解しがたい決定です。

 追加の4基の発射台の配備を環境評価が終わるまで中断すると言いますが、すでに配備済みの2基の発射台とそのためのレーダーの配備はそのまま継続されます。中国は、高性能のレーダーが中国のミサイル基地の情報も入手できることをTHAAD配備に反対する理由としてきました。したがって、今回の決定で中国側を満足させることはできません。

 中途半端に中国に譲る政策は中国に期待を持たせ、更なる要求を引き出すことになりかねません。北の脅威が強まる中、THAAD配備をせざるを得ないとの姿勢を貫くのが正解であったと思われます。

 THAADの追加4基の搬入が大統領に報告されていなかったということで調査がなされ、6月5日、国防省の国防政策室長(中将)が「隠ぺい」したとの調査結果が大統領府から出されました。6月7日には、追加4基の配備が、環境評価が終わるまで見送られることになりました。国家安全保障にかかわる問題についての決定としては、極めて異例な経緯、理由づけに基づくものです。

 北の脅威について文在寅大統領が深刻にはとらえていない証左であると思われます。日米韓が協力して対処しなければならない北朝鮮問題について、文在寅大統領は不協和音の素になる可能性が大です。

 今後、どう文大統領を教育していくか、米国とも相談していく必要があります。

 なお、ニューヨーク・タイムズ紙も6月12日付で本件について社説を掲載しています(‘South Korea, Caught Between Superpowers’)。同社説は、「北との交渉においては、米中韓の統一戦線が必要である。二つの超大国に挟まれた韓国の立場の配慮が必要」という主張をしています。3か国の団結保持を優先せよとの意見ですが、これは、無原則な対応になりかねない意見です。

  
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