野嶋剛が読み解くアジア最新事情

2017年7月13日

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 香港映画『十年』が日本で22日より公開される。2016年に香港で上映されるや大反響を呼び起こし、香港金像奨の最優秀作品賞など、香港の内外で多くの映画賞を獲得した話題作だ。

『十年』(「焼身自殺者」より)
(C)Photographed by Andy Wong, provided by Ten Years Studio Limited

 「10年後=2025年」の香港はいったい、どのような社会になっているのか。不安と恐怖のなかに、かすかな希望はあるのか。そんな香港の若者たちの絞り出すような必死の問いかけを正面からぶつけた必見の作品である。

 中国政府を震撼させた2014年の民主化デモ「雨傘運動」の前に企画され、映画のストーリーをなぞるように雨傘運動が発生し、書店主の誘拐事件が起きるなど、中国政府の圧力で香港社会の自由は削ぎ落とされている。

 制作費はたった750万円。最初は単館上映だったが一気に評判を呼び、最終的に1億円近い興行収入をあげた。その反響の大きさは、それだけ、香港の状況が悪い、ということにほかならない。

 香港返還20周年を迎えた7月1日には、中国の習近平・国家主席が自ら香港に乗り込み、香港の民主化運動に今後も強硬な姿勢で応じていくことを宣言した。「東洋の真珠」と呼ばれ、英国統治のもとで守られてきた言論の自由や司法の独立の伝統は、かつてない危機にさらされている。その危機の実像をつかみたければ、まずは本作を観ることをお勧めしたい。

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