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2017年7月13日

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ジョナサン・エイモス、BBC科学担当編集委員

記録上過去最大級の氷山が、南極から分離した。巨大氷山は約6000平方キロで、英南西ウェールズの四分の一の大きさ。

米航空宇宙局(NASA)の気象衛星は12日、「ラーセンC」と呼ばれる棚氷上空を通過中に、氷山の様子を観測した。

科学者たちはこの事態を予測していた。ラーセン棚氷の亀裂が拡大する様子を、10年以上前から観察していたためだ。

亀裂の拡大は2014年以来加速していたため、近く分離する確率は高いと言われ続けてきた。

平板状の氷山は厚さ200メートル以上で、すぐに素早く遠くまで移動することはない。しかし様子を監視する必要はある。潮流は風の影響で南極の北に押し出されれば、船舶の航行に影響を与える可能性がある。

NASAアクア衛星の赤外線センサーは12日、棚氷と氷山の間に透明な水が流れているのを観測した。零度以下の周辺の氷や大気よりも、この水は温度が高い。

氷山の変化と地球温暖化の影響を調べているを主導するエイドリアン・ラックマン教授は、「ここ数週間のデータでは亀裂はほとんど見えなかったのが、今では非常にはっきり見えるので、全長にわたり相当に開いたはずだ」と話す。

欧州連合(EU)とヨーロッパ宇宙機関(ESA)の地球観測衛星「センティネル1」も、氷山の分離を確認した。

他の氷山と比べると

ラーセン氷山はこれまで記録された中でもトップ10に入る大きさだ。

衛星時代に観測された過去最大の氷山は、2000年にロス棚氷から分離した「B-15」と呼ばれるもので、面積は約1万1000平方キロだった。この巨大氷山のかけらが6年後になっても、ニュージーランド付近を通過していた。

1956年には米海軍の砕氷艦が、約3万2000平方キロ級の氷山に遭遇したという報告もある。これはベルギーより大きい。残念ながら当時は衛星による追跡調査で確認することはできなかった。

ラーセンC棚氷からはこれまでにも、大きい氷山が分離している。1986年には約9000平方キロのかたまりが分離した。ラーセンから発する氷山の多くは、ウェッデル海で潮流に巻き込まれるか、北へ向かう潮流に乗って南極海から南大西洋に到達することもある。

この地域から出る氷山の多くは、英領サウス・ジョージア島周辺の浅い大陸棚に乗り上げ、やがて溶けてなくなることもある。

氷山分離の影響は

それ自体の影響は、おそらくあまりない。ラーセンC棚氷は、南極半島東側から海に流れ込む氷河の氷が集まってできたものだ。氷が海流に入ると浮力のある表面が結合してかたまりとなる。

棚氷の突端から氷山が分離するのは、きわめて自然な現象だ。棚氷が均衡を維持するため、積雪や氷の堆積による増量に対してバランスをとるために、氷山が分離する。

その一方で、ラーセンC棚氷の現在の面積は、約1万1700年前の最後の氷河期以来、最小規模だと研究者たちは指摘する。さらに、南極半島の北にある10カ所前後の他の棚氷も、過去数十年の間に崩壊したか相当に縮小している。

近くにあったラーセンAとラーセンBの棚氷は、21世紀初頭前後に消滅した。気候変動による温暖化がおそらく影響しただろうと考えられている。

しかし現在のラーセンCは、AやBとは似ていない。スクリップス海洋研究所のヘレン・フリッカー教授はBBCニュースに対して、「ラーセンAとラーセンBで見たような兆候はまだ確認できていない。ラーセンAとラーセンBはどんどん薄くなっていったが、Cでは観測されていない。氷そのものが水圧破砕されるほどの、大量な表面融解水も見つかっていない」と述べた。

「ほとんどの氷河研究者はラーセンCで起きていることを、特に警戒していない。通常通りの状態だ」

(英語記事 Giant iceberg splits from Antarctic

提供元:http://www.bbc.com/japanese/40590718

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