2024年4月24日(水)

赤坂英一の野球丸

2017年7月19日

 これで勝てば言うことはなかったのだが、この日は栃木の打線の破壊力が三軍投手陣を上回った。という以前に、投手陣が自滅したようなものだった。先発の與那原大剛(2年目、普天間)は3回4安打2失点と合格点の投球だったが、4回に登板した2番手のソリマン(2年目、ドミニカ)が先頭から四球を連発し、4四球2安打で5失点。3番手の巽大介(2年目、岩倉)も5回に先頭を四球で歩かせて1失点。さらに6回も先頭に四球を与えたため、川相監督が交代させた。

 「攻めていって打たれたのなら仕方がない。しかし、逃げて、かわして、歩かせてしまってはいけません。ストライクを投げろ。投げられないのなら、投げられるようになるまで練習しろ。自分に何が足りないのか考えろ。そう教えたつもりで交代させたんです。ソリマンや巽がわかってくれればいいんですが」

育成選手の契約期限は3年まで

 プロ野球の補強期限は7月末までだ。育成選手の場合、その日までに支配下契約を結べなければ、今季一軍昇格の望みは絶たれる。育成選手の契約期限は3年までだから、確実にクビになる日が近づく。その中には、この日4安打した川相監督の次男、3年目の拓也も含まれているのだ。崖っぷちに立たされた彼らに、川相監督はこう言っている。

 「この7月はおまえたち育成選手にとって、大きな勝負になる。ここで死にもの狂いの姿を見せることが大事だ。何としても上へ行きたい、一軍でプレーしたい、そういう意地や必死の姿勢を見せられるか。見せても支配下選手にはなれないかもしれない。だが、見せられなかったら確実にクビになるんだぞ」

 いま、このときを、どこまで懸命に生きることができるか。三軍と独立リーグの交流戦には、泥臭い若者たちの人生が垣間見える。

  
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