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2017年7月21日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

廉価EVのレンタルを発表したGM

 これに目を付けたのが、リフトに車両提供してきたGMだ。同社ではライドシェアのための子会社マーヴェンを通し、大量生産型の廉価EVとして売り出したシボレー「ボルト」を、ウーバー、リフト双方のドライバーに「週に229ドルで貸し出す」と発表した。EVであるためガソリン代もかからず、バッテリーのチャージ料金も込みで、一見ドライバーにとっては得なレンタルにも見える。

 しかしGMはボルトの販売加速のため、今年4月から「月329ドルでのリース」サービスを開始したばかり。つまりこのレンタルは通常リースの2倍以上の価格設定なのだ。保険料や車両メンテナンスも含まれているとは言え、フルタイムで働いてもこの料金ではドライバーの年収は2万ドル程度にしかならない。

 ライドシェアサービスはコミッションビジネスであるため、ドライバーが増え多く働くほど企業としての利益も増える。そのためにウーバー、リフトやその他の企業は盛んにドライバーの囲い込みを行おうとする。学生、主婦などで空いた時間に少しでも稼ぎたい、と考える人にとっては決して悪い仕事ではないのだが、カーレンタルはその支払いのためにほぼフルタイム労働を強いることになる。このためライドシェアは「隷属労働」という批判の声も上がっている。

 もちろん自分では通常リース契約が取れない、というクレジット履歴の悪い層にとって、こうしたサービスはありがたい面もある。ドライバーとして働いている時間以外に、車を家族のために使うことも可能だ。しかしそうした労働側の弱みにつけ込むような法外なレンタル価格は果たして適正と言えるのか。今後議論が加熱しそうだ。

  
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