2024年4月16日(火)

ある成年後見人の手記

2017年8月14日

家裁所長に直訴

 家裁に苦情受け付けはない。ならば素人の私が腹を括って、自己流で対処するほか、道は無かろう。

 14年7月23日付で神戸家裁の所長に宛て、配達証明付き書簡を送った。先に挙げた『成年後見における死後の事務』の抜粋引用を添えて、「事務連絡」とは異なる法的解釈によって、葬儀や埋葬等ができるのではないかと見解を問いただしたのである。そして後見人の窮状を率直に申し添えた。

 法律家でない成年後見人は、人生初めての体験の連続に相当ナーバスになっています。私ばかりではないでしょう。司法公務員は、そんな後見人に寄り添う姿勢を持って戴きたい。法律無知の家裁書記官の独断暴走が見ておられず、素人の後見人が日々追われる時間を工面して法律書を読まざるを得ないような無駄な作業は除去して戴きたいと存じます。
市民後見人の普及に努めるのが今の司法の方針だと仄聞しています。

 ほぼ満額回答


 家裁の所長に宛て書簡を送ってから40日余りが過ぎて、同家裁事務局総務課名の14年9月2日付書簡が届いた。

─―あなたから送付された7月23日付けの書面を拝見しました。
 お申し出の内容は、後見人の事務処理に関するものと窺われますが、個別の事件について事務局又は所長として意見を述べることは致しかねますので、御了承ください。
 なお、いただいた書面の写しは、事件担当裁判所に交付しておりますことを申し添えます。
 おって、返信用封筒(九十二円分の郵便切手添付)は、同封の上、返送させていただきます―─

 何が言いたいのか分からない文章だが、実質的な詫び状だと直感した。案の定、9月5日、同家裁後見センターから電話があり、交代した書記官から、私が由利子の金を使い葬儀を営むことなど、私の言い分をほぼ認めることを告げられた。

 「貴裁判所と日本国司法の名誉を重んじられ、身内かばいで有耶無耶(うやむや)にすることなどないよう願う次第です」と、私は強気に書き送っていたが、内心では、無視されるのではないか、後見人監督人を付けるなど意地悪をされるのではないかと不安を抱いていたのだ。

 10月15日、神戸家裁後見センターを訪ねた。由利子が逝った場合に備えた関係書類をもらい、いろいろ丁寧に説明を受けた。さらに、遺産の血族への分配は後見人が担わないといけないと告げられた。私が、遺産を家裁に届けて終わりとはいかないのだ。


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