ビジネスにも効く!アニメ監督のマネジメント術

2017年8月11日

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藤津亮太 (ふじつ・りょうた)

アニメ評論家

アニメ評論家。'68年、静岡県生まれ。'00年からフリー。アニメ作品・アニメ業界への取材を行っている。著書に『「アニメ評論家」宣言』(扶桑社)、『チャンネルはいつもアニメ』(NTT出版)、『声優語』(一迅社)、『ガルパンの秘密』(廣済堂新書、執筆は一部)などがある。TV番組に出演したり、複数のカルチャーセンターで講座も担当する。

『正解するカド』で挑戦したこと

『正解するカド』絵コンテのガイドライン(※画像クリックで拡大画像を別タブで表示)

――総監督としてクレジットされている『正解するカド』の場合はどうだったのでしょうか。

村田:『正解するカド』は自分が参加できる期間が限られていたので、もともとはPVの制作だけ引き受けたんです。ところが、PVは本編の特徴的なシーンを抜き出して作ることになり、メインキャラクターのデザインを決めなくてはならない、脚本も完成させなくてはならない……となり、だんだん関わりが深くなっていきました。

 そうして作品の基礎的な部分を固めたということで総監督の表記になりました。絵コンテ作成や演出処理(画面づくり)など、本編の実際の映像づくりはシリーズディレクターの渡辺正樹さんに委ねています。その際、私の趣旨なり必要な情報は、マインドマップなどにまとめたりして引き継ぎました。
 

――PVをつくるうえで、どんなことを意識されましたか。

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©TOEI ANIMATION,KINOSHITA GROUP,TOEI

村田:どのような映像のテイストでいくべきか、作品のルックを探りました。『正解するカド』はメインキャラクターを3DCGで描いています。

 制作現場となった東映アニメーションのデジタル映像部は長い歴史を有しますが、3DCGによるキャラクター表現については後発組です。

 だからこそ、この作品では後発組であるデメリットを吹き飛ばすような“何か”が必要だろう、と考えました。

 作品の舞台が現代の東京なので、主人公まわりのビジュアルで特徴を出すのは難しい。となると、作品を特徴づけるには高次元世界(※作中では「異方」と呼ばれている)から現れた1辺2kmの巨大な立方体「カド」の表現を印象的にする必要がある。

 そこでマンデルブロ集合というフラクタル図形の一種を使うことを提案したんです。技術的なハードルはかなり高かったそうですが、スタッフの方たちが工夫して可能にしてくれました。

写真を拡大 ©TOEI ANIMATION,KINOSHITA GROUP,TOEI


――スタッフの間から「無理です」という声は出なかったのでしょうか。

村田:最初は「分からない」というところからスタートしましたが、幸い「無理です」という言葉は出ませんでしたね。それは技術者としての好奇心、未知のものへと踏み込むおもしろさに訴えかけるものだったからかもしれません。

 未知のものを知りたい気持ちを、僕は知に利するという意味で「利知」と呼んでいますが、それは人間を行動に駆り立てる大きな要因だと思っています。
 

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