前向きに読み解く経済の裏側

2017年8月7日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

将来の不況時に失業が増える心配より労働生産性向上が重要

 今の労働力不足は、「景気が良いから」という循環要因と「少子高齢化だから」という構造要因が複合的に作用したものです。前者を重視するならば、「今は良いが、次に不況になった時に、最低賃金が失業を増やしてしまう」ということになりますが、後者を重視するならば、「今後ますます労働力不足が深刻化していくのだから、よほど深刻な不況が来ない限り、失業問題が深刻化することはない」「そんな心配をするくらいなら、企業がいつまでも安い労働力を使えると勘違いして省力化投資を怠り続けることの方が、はるかに問題だ」ということになるでしょう。

 遠い将来のことはわかりませんが、近い将来に日本の景気が大幅に悪化する可能性は小さそうです。政府日銀は景気浮揚策を続けるでしょうし、世界経済を見渡す限り、日本の輸出が激減するようなこともなさそうです。そうであれば、景気は「売れるから作る、そのために雇う、給料をもらうから買う」といった好循環を続けて行く可能性が高いと思われますから。

P.S.

 じつは、筆者が最初に「労働力不足の時代が来る」と唱えたのは、2007年頃のことでした。今でも当時の考え方が間違えていたとは思っていませんが、運悪くリーマン・ショックが発生し、極端な労働力余剰になってしまったのです。

 その意味では、個人的には二度目のチャレンジということになります。今回こそ、リーマン・ショックのようなことが起きないように、願っています(笑)。

  
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