世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年8月17日

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 ゲーツ元国防長官の提案は、実務的な狡猾さも併せ持った興味深い考え方です。一言でいえばギブ・アンド・テイクを含む現状凍結論です。在韓米軍の再編の可能性も視野に入れる点でアリソンのシナリオと通じるところがあり、中国に解決策実施につき、より大きな関与を求めるとの点でビクター・チャ等の最近の論評にも通じます。

 ゲーツは中国にぶつけるべき外交・軍事を含む包括的な具体案として、①米国は北朝鮮のレジームを認める、②レジーム・チェンジはしない、③北朝鮮と平和条約を署名する、④在韓米軍につき変更を検討するとし、それと引き換えに、①北朝鮮は核兵器保有を12~24程度の現状に凍結する、②核・ミサイル開発を凍結する、③中国も合意実施に責任を持つこと、を提案しています。

 現下の困難な状況に至っていることについては、日米韓にも一端の責任はありますが、中国が北朝鮮の生命線を守っていることに最も大きな責任があります。中国が交渉上のドミナンスを握ってしまっています。そうである以上、中国に実質的な関与と責任を持たせようということでしょう。要するにゲーツは二つの交渉が必要だと言います。先ず中国と交渉し、その後、北朝鮮と交渉するというものです。中国との協議を前提と考えることが現実的か、また有利かどうかについては議論の余地はあります。いずれにせよ秋の共産党大会の後を睨んで対中交渉を粘り強く続ける必要があります。少なくともそれが終わるまで中国は動かないでしょう。

 中国が協力をしないのであれば、MDの大々的な展開など中国が嫌がる措置をとればよいとゲーツらしい提案をしています。ミサイル撃墜宣言も提案しています。中国が嫌がることとは何か、種々思考しておくべきでしょう。

 日米同盟の一体性を強化していくことの重要性を強調しすぎることはありません。日本は日本で防衛力の強化に努めるべきです。平和な時代が来れば、削減すれば良いのです。またトランプは、米国単独でも措置をとるとしていますが、ICBMを除き、米国が日韓の支持なくして動くことは考えられません。それだけに日韓の責任は大きいです。


  
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