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2017年8月24日

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デンマーク警察は23日、コペンハーゲンから南約50キロの海岸で発見された胴体は、デンマーク人発明家の潜水艦に乗って以来行方不明となっていた、スウェーデン人記者キム・ウォールさん(30)のものだと発表した。DNAが、ウォールさんのヘアブラシや歯ブラシから採取したものと一致したという。

イェンス・モラー・イェンセン捜査主任によると、遺体には重りのような金属がくくりつけてあった。浮き上がるのを防ぐためではないかとみられるという。胴体は21日、海岸で通行人によって発見された。

イェンセン捜査官は死因についてコメントを避けたが、遺体に重りをくくりつけただけでなく、体内で発生する腐敗ガスで浮き上がらないよう、多数の傷をつけてガスを放出させるようにした形跡がうかがわれると説明した。鑑識捜査は続いており、遺体の残りを捜索中だという。

コペンハーゲンの検察官によると、警察は通常の事件捜査の一環として、未解決の類似事案を再点検している。そのなかには、1986年にコペンハーゲン湾で胴体が発見された22歳日本人女性の未解決事件も含まれるという。

ウォールさんは、発明家ペーター・マドセン被告と共に潜水艦に乗り込んだ8月10日を最後に、行方不明となっていた。

マドセン被告が設計・建造した潜水艦「ナウティルス」に乗ったウォールさんが帰宅しないと、パートナーが11日未明に通報。救急救助当局がコペンハーゲンから東の海を捜索したところ、デンマークとスウェーデンをつなぐオーレスン橋の南側にある灯台から、潜水艦の位置を確認した。発見から30分後にナウティルスは沈み、マドセン被告は救助された。

マドセン被告は業務上過失致死で訴追され、勾留されているが、非公開で行われた審問では無罪を主張している。被告は当初、コペンハーゲン近くでウォールさんを降ろしたと供述したが、後に事故死したウォールさんを「水葬」したと供述を変えた。

デンマーク警察は、被告が排水量40トンの潜水艦をわざと沈めたとみている。艦内で発見された血痕も、ウォールさんの血液型と一致するという。

それから10日間、ウォールさんの捜索は続き、21日になって自転車で通りかかった人が、ケーエ湾沿いの海岸に打ち上げられた胴体を発見した。

警察は翌日、胴体は両腕、両足と頭部が意図的に切り離されたものだと発表。23日未明にツイートで、胴体は確かにウォールさんのものだと確認されたと明らかにした。

マドセン被告を担当するベティーナ・ハルド・エングマルク弁護士は、胴体がウォールさんのものだからといって、ウォールさんは事故死したのだという被告の主張は変わらないと述べた。

弁護士はデンマークの報道陣に対して、胴体が見つかって被告は「とてもホッとして」おり、「この件が解明されることを何より願っている」と述べた。

ウォールさんは、英紙ガーディアン、米紙ニューヨーク・タイムズ、香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストなどに原稿を提供してきたフリーランスのジャーナリスト。2008年にインターネットのクラウドファンディングで資金を集めて潜水艦を造ったマドセン被告を取材していたとされる。

ウォールさんの母イングリッドさんは、家族が「限りない悲しみ」に打ちひしがれているとフェイスブックに書いた。

「キムがいなくなってから恐ろしい思いをしてきたここ何日かの間に、娘が人間として、友達として、そしてプロのジャーナリストとして、どれほど愛され、大事にされていたか、無数の事例を教えてもらいました」、「世界中のあらゆるところから、彼女は大事な働きをした人間だったと教わりました」とイングリッドさんは書いた。

(英語記事 Kim Wall: Headless body identified as missing journalist

提供元:http://www.bbc.com/japanese/41033602

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