世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年9月7日

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 サウジの国教であるワッハーブ主義は、スンニ派イスラム戒律の中で最も厳しいものの一つです。サウジは国内に戒律を厳守するのみならず、イスラム世界での普及につとめて来ました。それがイスラム過激派を育ててきたことは良く知られています。

 サウド家による政治の基礎には、サウド家とサウジ国民との間の社会契約の他に、18世紀、サウド家がワッハーブのイスラムを保護し、ワッハーブ派がサウド家に忠誠を誓うという約束ができて以来のサウド家とサウジの僧侶階級との伝統的相互依存があります。

 したがって、過激なワッハーブ主義を輸出するという計画は、本来サウジの僧侶階級の計画であったとしても、サウジ政府もその責任は逃れられません。

 しかし、この計画が始まった一つの理由は、イラン革命後、イランに対抗するためであったと見られ、計画がサウド家と僧侶階級の同盟に本来不可欠のものとは言えないのではないでしょうか。

 そうであるとすれば、サウジの新指導者たちは、僧侶階級との同盟にひびが入ることは心配せずに、この計画の多少の軌道修正はできるはずです。

 サウジの新指導者たちは、この計画の影響につき、すでにある程度の疑義を持っていると言います。この計画が行き過ぎであることは明らかであり、米国はサウジ政府に対し、この計画を見直すよう言うべきであり、サウジ政府は関連の資金供与を減らすべきです。

 特に論説の言うように、インドネシアとインドに対する計画は止めるべきです。インドネシアでは「ジェマ・イスラミア」など、すでにイスラム過激グループがあります。これらのグループを抑え込むことは、単にインドネシアのみならず、アジアの安定のために必要です。

  
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