オトナの教養 週末の一冊

2017年9月1日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――それでは共働き家庭の場合、夫婦の収入が家事や育児への参加に影響することはありますか?

藤田:共働きで、収入が同じくらいの夫婦の場合、圧倒的に女性のほうが家事・育児に費やす時間が長いというデータがあります。

 家事は、無償労働で労働の1つとして考えられています。職場での労働時間と家事の時間を足すと、1日の労働時間はパートで働いている女性がフルタイムで働いている男性と同じくらいになり、夫婦ともにフルタイムで働いている共働き世帯では、女性のほうが長くなります。それでも、パートタイムで働く妻に対し、夫は自分のほうが長く働いていると錯覚している。

 共働き夫婦で、女性の収入が男性より多い場合、男性の反応は2つにわかれます。1つは、自らの家での大黒柱的な地位が脅かされるという脅威説と、もう一つは男性側のメリットになるとする利益説。日本では、利益説を支持する男性が多い。つまり、多くの男性は、妻には家にいるより、外へ出てパートタイムでも正社員でもよいので働いてほしいと思っている傾向があります。

 そういう考えを持っているにもかかわらず、多くの男性が家事や育児をしないのは、早く帰らせて欲しいと上司と交渉できないからでしょう。男性は、そういった交渉をすると、昇進できなくなるのではないか、望まない部署に飛ばされてしまうのではないか、という恐怖があると実施中の調査で聞きます。

――他にも、結婚相手の収入を女性が重視するあまり、産後にミスマッチが起きると。

藤田:毎年、大学で500人以上にアンケートを取っています。性格以外で、将来の結婚相手の何を重視しますかと聞くと、女性は収入、男性は容姿が一番という結果になります。

 そこで授業では、現在のような共働き社会では、男性の収入が落ちていること、また収入の多い男性は、長時間労働を強いられ、転勤も多いことを伝えています。本書でも、大企業で働く転勤族の妻にインタビューしていますが、彼女の夫は3年毎に転勤を繰り返しているそうです。知らない土地で3年毎に暮らす上、夫は長時間労働で、家にいる時間が短い。そのため彼女は友人もなかなかできず孤独だと話してくれました。

 だから、授業では家事や育児をきちんとやると言っている人と結婚したほうが、転勤や仕事ばかりの人と結婚するより、産後は絶対に幸せだよと話しています。

 それに現在は、昔とは違い、女性でも総合職で就職でき、それなりに稼げる。それにいまの若い子たちは、女性より男性が偉いなんてたいして思っていません。だからこそ、パートタイムでもフルタイムでも家事や育児の時間を含めると、フルタイムの夫より長時間働いているのに、なにもしてくれない男性に納得いかない面があります。

 ただし、家事や育児に積極的でない男性も、こと子どもの教育や習い事には熱心な方が多いようです。熱心に勉強を教えたり、習い事の検定日には顔を出したりという姿が見られます。

――家事や育児に男性が参加すると、子どもにどんな影響があるのでしょうか?

藤田:多くの調査で、父親が育児に関わったほうが、子どもの情緒が安定し、自信や意欲が高まり、友だちも増える、という結果が示されています。将来、学歴や業績が高まるとも報告されています。これだけ良い影響があるにもかかわらず、育児に関わらないというのは、自信や意欲といった非認知能力が目に見えにくい成果だからかもしれませんね。

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