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2017年9月4日

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北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載可能な水素爆弾実験を成功させたと主張している問題で、ジェームズ・マティス米国防長官は3日、北朝鮮が米国や同盟国への脅威となるなら「巨大な軍事行動」で反応すると警告した。国防長官は、ドナルド・トランプ米大統領出席の国家安全保障問題会議の後に記者団に話した。

マティス長官はホワイトハウスの外で記者団に対して、米国は自国と日韓両同盟国を防衛する能力があり、同盟国防衛の責務を果たすコミットメント(意志と意欲)は「鉄のように堅固」だと強調した。

「米国とグアムを含む米領や、我々の同盟国へのいかなる脅威にも、巨大な軍事行動で反応する。効果的かつ圧倒的な反応になる」とマティス長官は述べた。その上で長官は、「北朝鮮という一国の完全な全滅を目指しているわけではない」ので、北朝鮮の非核化を期待すると表明した。

米国の国連代表部によると、国連安全保障理事会は4日にも緊急会合を開き、国際的対応を協議する予定。

トランプ大統領は、北朝鮮と商取引関係のあるすべての国と、貿易を停止する可能性があると警告した。

トランプ大統領はツイッターで、北朝鮮による3日の核実験を「敵対的」で「危険」なものだと非難し、北朝鮮は中国にとって「非常に大きい脅威で恥ずかしい存在」になった「ならずもの国家」だと書いた。大統領はさらに、韓国による「融和方針」は成功せず、北朝鮮は「たった一つのことしか理解しない」とツイートした。

「米国は、他の選択肢に加えて、北朝鮮と商取引をしているすべての国との貿易停止を検討している」と大統領はさらにツイートした。北朝鮮は貿易の約9割を中国に依存している。


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日曜に何があったのか

北朝鮮北東部・咸鏡北道吉州郡の豊渓里核実験場で日本時間3日午後0時29分ごろ、大きい揺れが観測され、6回目の核実験ではないかと直後から推測が飛び交い始めた。

北朝鮮の国営・朝鮮中央テレビは同午後3時半、「重大報道」として「水爆実験を成功させた」と発表。「大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載のため、水爆実験に完全成功した」と明らかにした。「前例のないほど強力な爆弾」による実験で、核物質などの外部流出はなかったと説明した。また最高指導者の金正恩・朝鮮労働党委員長が核実験の命令書に署名しているように見える映像を放送した。

米地質調査所(USGS)によると、揺れの規模はマグニチュード(M)6.3で、揺れの深さは0キロ。「爆発の可能性がある」と説明した。

韓国当局によると、昨年9月の前回の核実験の揺れより、今回の揺れは9.8倍の強さだった。

中国地震局は最初の揺れの直後に、M4.6の揺れも観測したと発表した。これは実験場の「崩落」によるものではないかと言われている。

日本の河野太郎外相は同日午後2時すぎ、分析の結果、北朝鮮が核実験を行ったと日本政府として断定したと明らかにした。

韓国の文在寅大統領は、「可能な限り最も強い」反応を呼びかけ、北朝鮮を「完全に孤立化させる」新たな国連安保理制裁を求めた。

中国も「強い非難」を表明し、北朝鮮が「国際社会の幅広い反対を無視した」と批判した。

ロシアはすべての当事者が協議に参加するよう呼びかけ、朝鮮半島の問題解決にはこの方法しかないと強調した。

英国のテリーザ・メイ首相は、「無謀」な核実験は、「国際社会に対する容認できない新たな脅威」だと批判し、北朝鮮による「不安定化行動」をやめさせるよう各国指導者の協力を求めた。

北東部での強い揺れより先に、北朝鮮国営・朝鮮中央通信(KCNA)は同日、新型水素爆弾の開発に成功し、金委員長が「「核兵器化への作業を指導した」と、爆弾のような物体と写る金氏の写真と共に伝えた。KCNAは、水爆は弾道ミサイルに搭載可能と伝えたが、内容の真偽は未確認。

米ミドルベリー国際大学院モントレー校核拡散防止研究所の研究者、キャサリン・ディル氏はBBCに対して、どのような核兵器を試験したのかまだ不明だと話した。

「しかし揺れの特徴からして、今回の実験による出力は以前の実験より対数的に大きい」

現在明らかになっている情報では、確かに水爆実験だったと確認はとれていないものの、「現時点では可能性としてあり得る」とディル氏は話した。


<解説> 何ができるのか――ジョナサン・マーカスBBC防衛外交担当編集委員

北朝鮮の6回目の核実験(おそらく過去最大)は、明確な政治的シグナルを発信している。

トランプ政権がワシントンから強い調子でいくら脅しても、そしてほぼ全世界的な非難を浴びても、北朝鮮は核開発活動を停止などさせないし、制限するつもりもないということだ。

しかも北朝鮮の核開発は、多くの予想とは裏腹に、急ピッチで進んでいるものだと、今回の実験で明らかになったことが懸念材料だ。

これまでのところ、制裁、孤立、軍事的な威圧など、あらゆる対応は北朝鮮政府を動かすことはできなかった。

さらにできることはあるのか? もちろんある。しかし最大級の経済圧力は独裁政権に致命的な打撃を与える可能性があり、そうすれば破滅的な事態へと追いやってしまいかねない。それは中国にとって受け入れられない展開だ。

世界はこれまで北朝鮮の核開発をやめさせ、破棄させる方向で努力を重ねてきたが、これからは核保有国・北朝鮮と共存する方法に向けて、政策を調整していくことになる。そのなかで前面に出てくるのは、封じ込めと抑止だ。

<解説> 中国が締め付けるのか――ロビン・ブラント、BBCニュース、上海

北朝鮮の6回目の核実験は、唯一の同盟国からの要求の完全拒否だった。

中国政府の反応は想定内のもので、北朝鮮を非難し、挑発をやめて対話するよう促した。

しかし同時に中国は北朝鮮に、朝鮮半島の非核化を求める国際社会の「確固たる意志に面と向かうよう」呼びかけた。

とはいえその「確固たる意志」の具体化において、中国が国連制裁以上のものを容認する姿勢はまだ見せていない。国連は、石炭や鉱物に加えて海産物や鉄鉱石などを輸出禁止にする追加制裁を導入したばかりだ。

今回の核実験が、新興5カ国(BRICS)首脳会議が中国南部の福建省アモイで始まる直前に実施されたことも、注目に値する。

たとえ中国の国営メディアでも、習近平国家主席がハレの場のお株を奪われ、おまけに面子を失わされたことは、無視できないだろう。ほぼ普遍的に唾棄されている、同盟国の隣国によって。

(英語記事 North Korea nuclear threat: Mattis warns of 'massive military response'

提供元:http://www.bbc.com/japanese/41144206

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