イノベーションの風を読む

2017年9月7日

»著者プロフィール
閉じる

川手恭輔 (かわて・きょうすけ)

コンセプトデザイン・サイエンティスト

1990年代から、大手メーカーでインターネットサービスの企画・開発・運用を手がけ、自ら立案したグローバルなサービスを複数立ち上げた経験を持つ。その1つは、サービスのデザインでグッドデザイン賞を受賞した。コンピューターサイエンス関連の翻訳本も多数ある。

「もの創り」へのAIの応用は残されたチャンス 

 残念ながらAIの研究や技術開発、そしてその実用化について、日本企業が米国や中国の企業に大きく遅れをとっていることは否めません。しかし、「ソフトウェアでハードウェアのコモディティ化を防ぐ、あるいはソフトウェアによってハードウェアを再定義する」ためにAIを応用するという取り組みは、自動運転車を除けばまだまだこれからで、日本のメーカーにも、それぞれの産業分野(ドメイン)において大きなチャンスが残されています。

 そのAIとは、ディープラーニングだと考えて良いでしょう。ディープラニングによってソフトウェアをつくる、すなわちソフトウェアに学習させる仕組みは、すでにグーグルなどからサービスとして提供されています。考えるべきことは、それを利用して、ハードウェアを再定義するための、どのようなソフトウェアをつくるのか、それにはどのようなデータで、どのように学習させなければならないのかということです。

 イノベーションの停滞状況から抜け出す唯一の道は、既存の製品事業の組織内の多様性を拡大することです。既存の製品事業の外側に、イノベーションに取り組むための独立した組織をつくっても、変革を起こそうとするドメインに精通しているエキスパートなしでは、変革の企ても想像力に乏しくなり大した成果も期待できません。しかし、これまでハードウェア製品だけに関わってきたドメインエキスパートも、「ソフトウェアでハードウェアのコモディティ化を防ぐ、あるいはソフトウェアによってハードウェアを再定義する」という考え方への発想の転換が求められます。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る