中国はいま某国で

2010年10月11日

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谷口智彦 (たにぐち・ともひこ)

慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授

明治大学国際日本学部客員教授。2008年7月まで3年間外務省で外務副報道官。元日経ビジネス記者、編集委員、ロンドン外国プレス協会会長。著書に『同盟が消える日』(編訳、ウェッジ)など。(2013年1月末日現在)

 チャイナ・マネーがニュージーランドに流入し、新興住宅地の物件を買い漁って値を吊り上げている。放置するとこの先家を持ちたい自国民の若い層に手が届かなくなるとして、外国(つまり中国本土)からの不動産投資に規制を求める声が出始めた。

 2008年4月、先進国としては先陣を切り中国との自由貿易協定を結んだニュージーランド。早手回しの対中接近は、意外な余波をもたらした。

 地元紙報道によると、買い手の多くは中国人の若者という。北島オークランド市郊外オルバニーに造成された新興住宅地など、在庫物件のほとんどすべてが中国人の手に渡ったとか。

 430万人強の人口をもつ同国で、中国人の比率は4%弱。大半は25歳未満といい、多くは学生か、卒業後の残留者だ。彼らに本国の親元が邦貨にすると1億円近いカネを送って寄越し、大型郊外住宅を買わせては、不動産バブルを膨張させているという。

 1億円は例外としても、オルバニーで現に売り出し中の物件を眺めると、寝室5、バスルーム3の大きな新築住宅が邦貨換算5800万円で買える。この手の出物を、中国人青年が次々来ては買っているということか。

 お隣豪州では似た状況に当面し、つとに外国人による不動産取得に規制をかけることにした。依然野放しのニュージーランドはこのままだと格好の受け皿となり、チャイナ・マネーの奔流を招くのは必至だとして、緑の党指導者ラッセル・ノーマン氏などが早期の規制を求めているわけである。

 非永住者がニュージーランドから離れる際には持ち家売却を義務づけることにするほか、ビザ名義人と不動産保有者の名寄せを厳格化するなどが、規制の趣旨。中国は、人間と一緒にバブルも輸出している事実の例証である。

バングラの女性首相
訪中して頼んだことは

 西の隣国インドとの関係に苦心し、領海紛争を抱える東隣の国ミャンマーに対し有利に立ちたいバングラデシュには、北の隣人中国の力を引き入れようとする強い動機がある。

 そんな戦略的弱点を有利に用い、このところバングラデシュへの浸透を質量とも急伸させたのが中国だ。

 バングラデシュはアジア最貧国のひとつ。中国はそのインフラ構築を一手に引き受け、橋を架け鉄道を敷き、通信を整え「デジタル・バングラデシュ」化に手を貸そうとする。

 両国の蜜月ぶりは、今年3月下旬、バングラデシュの女性首相シェイク・ハシナ氏訪中の折再び際立った。ハシナ氏は、1975年に暗殺されたラーマン大統領の娘で現在62歳。

 この際バングラデシュ側が求めたのは、同国チッタゴンに水深の深い港を築くことと、チッタゴンと中国・昆明間を結ぶ幹線鉄道と道路の建設。なおこの両都市は姉妹提携関係にある。

 これらは中国にしてみると、飛んで火に入るナントヤラという話だ。チッタゴンを近い将来中国海軍の艦船寄港地にしたくなった時、バングラデシュはよもや否とは言えないだろう。

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