中国人観光客はいま

2017年10月2日

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中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)などがある。

 たとえば、最近実施した企画は、東京・日本橋コレドで和菓子とお茶を飲む体験、手すき和紙を作る体験、大阪・太閤園の広大な庭園で鉄板焼きを食べる体験、銀座で懐石料理の盛りつけを行う体験……などです。

行楽ジャパン代表取締役 袁静氏

 個人旅行客が懐石料理を食べる機会は増えてきていますが、懐石料理の盛りつけを自分で行うという機会はないですよね。お料理や食材、飾りなどを準備し、それを参加者が自分でお皿に盛りつけるのです。試行錯誤でやってみるのですが、これがけっこう難しくて……。でも、皆さん、自分なりに盛りつけを楽しんでいました。また、それだけで終わらず、料理人の方が実演してくださったり、直接、料理人から解説をお聞きするのも大きな魅力です。   

 なぜ、この食材はこのように盛りつけるのか、どう盛りつけたらより美しいのか。その盛りつけ方にはどういう意味があるのか、など日本人の専門家のお話をうかがうと、日本の懐石料理への造詣が深まり、知識もぐっと増えます。このように、「体験」は重要なキーワードになっていますが、富裕層たちはさらにもう一歩踏み込んで、日本人の方と直接お話して、より多くのものを学んだり、コミュニケーションを取ったり、新しいことを吸収したいと思っています。

 もうひとつ、中国の富裕層もホームパーティなどを開催することが増えてきて、ゴージャスな食材を並べるだけではなく、洗練されたオリジナルな演出を求める風潮ができてきました。和食は味だけでなく、目で楽しむというイメージが共通認識としてあり、よい食材とよい器の組み合わせなどについて日本人の達人や匠(たくみ)から学びたい、との考えがあって、自分の生活にも取り入れたいと思っています。

――専門家が語る蘊蓄(うんちく)は勉強になりますよね。

袁氏:おっしゃる通りです。日本で実施する読者会だけでなく、上海でも少人数に限定した2~3時間の生け花教室、有田焼の器でコーヒーをいただく会、秋田県の稲庭うどんや日本酒を楽しむ会などを実施しているのですが、皆さん、専門家が語る蘊蓄に興味津々でした。また、参加者の側も「この出汁は何で取っているのですか?」や「この日本酒に合うお料理は?」「このすだちがアクセントになっていて、風味を際立たせていますね……」などの高度な質問や感想が飛び出しますし、蘊蓄を語れるほど高いレベルの方もいらっしゃいます。日本に何十回と足を運び、各地方でさまざまな料理を味わったり、ホンモノを目にしてきた「通」の方々は、文化や芸術にも精通していて、もっと奥深いことを知りたいと思い、探求心が旺盛。私も驚かされることが多く、ときどき「ついていけない……」と思ってしまいますよ(笑)

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