2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年10月13日

 この論説は米空軍が予算不足のために過酷な勤務を強いられていること、結果としてパイロットがやめていっていることを懸念し、予算増の要求をしています。熟練したパイロットを養成するためにはお金も時間もかかります。その上、民間の航空会社は軍出身のパイロットを雇用する機会を狙っており、空軍のパイロット流出を止める必要があるというのは正論です。

 海軍でも予算削減を受けて、例えばイージス艦で他の船との衝突回避を目視で警戒する人員がいなくなったことが、先般2隻もの米イージス艦が民間船舶と衝突事件を起こした一因であると言われています。

 米国の国防予算はいわば国際的公共財の提供にかかわるものであり、米国内での社会保障費と同列に論じられるべきものではないと思いますが、米国の国内政治上、どちらに優先順位をおくか、常に議論されています。

 日本としては、同盟国である米国の軍隊が強いことが望ましいですが、その議論に日本が参入すれば、「日本、安保ただ乗り論」を誘発することになるでしょう。ただ乗り論には、ホスト・ネーション・サポートの有益なことなどを強調して反論するということですが、GDPの1%程度の防衛費しか支出しない日本に対する「ただ乗り論」は、米国側から見ればもっともな議論です。この空軍予算問題は、日本としては、この論説の趣旨を歓迎しつつも、静かに見守るということでしょう。

 トランプ大統領も「Make America Great Again」と言うのでしたら、この論説の主張通り、国防予算増加を支持すべきでしょう。

  
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