中国人観光客はいま

2017年10月16日

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中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)などがある。

――ということは、中国国内ではスキー場に満足できない人が日本にやってくるのですか?

マックアース執行役員CEO室長の王芳氏

王氏:そうですね。中国で少しずつスキー愛好者のサークルやクラブのようなものができ始めてきて、そういう人々が仲間と年末年始や春節の時期に、よいスキー場がある日本にやってくるようになりました。一般の方々は中国でも日本でもスキー場の場所もよくわからないですが、そういう方々は普通の日本旅行の中で1日だけ、スキーを少しだけ体験するツアーを組んだりしています。子どものスキーキャンプに関しても問い合わせが増えています。

――中国人のインバウンドに向けて、特別な取り組みも行っているのですか?

王氏:まだインバウンド事業は始まったばかりですので、特別なことはしていませんが、スキー1日+周辺観光をセットにしたプランや、子ども向け、初心者向けスキー教室、そば打ち体験なども一緒に行えるようなプランを中国の旅行代理店などと組んで販売しています。

 中国人はスキーをしたい人もいるのですが、スキーだけでなく、スノーモービルとか雪合戦とか、純粋に雪があるところで遊んでみたい、という人が多いんです。カッコいいスキーウエアを着て写真を撮ってSNSにアップしたい、とか。そういう潜在的な「雪のある日本」の需要も含めると、この分野にかなりの市場があると感じています。

――キャンプ場など、他の施設に関してはいかがですか?

黒姫高原は中国人にも大人気

王氏:キャンプ場、自然学校にも中国人の注目が集まっています。中国でもインターナショナルスクールなどに通っている子どもはそういうところに行ったことがあるのですが、一般の学校に通っている子どもは、まだキャンプや自然学校に行った経験があまりありません。弊社は裏磐梯、黒姫などに自然学校を持っており、アスレチックをしたり、自然の植物を観察したり、ラフティング、マウンテンバイク、ホタル観賞、星空観賞などのアクティビティのメニューが充実しています。また、カレーやピザを自分たちで手作りしたり、農作業をしたりなど、中国ではなかなかできない貴重な体験もできます。このような施設にも、中国からたくさんのお問い合わせをいただいています。

――確かに、中国では勉強以外に、このような活動が手軽にできる施設はまだ少ないですね。

王氏:日本では小学校や中学校の生徒がみんなでキャンプに行く経験があると思うのですが、中国ではまだ一部の人しか行けません。木登りをするという「日本では平凡な経験」も、中国ではとても珍しいことなのです。自然学校やキャンプは、中国人の親が一緒についてくることが多いです。子どものことが心配でついてくるのですね。ですので、子どもが自然学校に行っている間、ご両親も楽しめるよう、別の観光プランも用意しています。スキー場だけ、自然学校だけしか持っていないとこういうことは難しいので、春夏秋冬、大人も子どもも楽しめるさまざまな施設があることは弊社の強みだと思っています。

――スキーといい、自然学校といい、日本のスポーツや自然に関心が集まっているのですね。

王氏:はい。ゴルフに関しても、弊社のゴルフ場を利用して、中国人向けのゴルフスクールをやってみたいと思っています。また、グランピング(ホテル並みの施設やサービスを提供しながら行うキャンプのこと)にも取り組もうと、現在、本格的な設置に向けて動き出しているところです。

 日本の自然はとても美しいですし、日本の空気は本当においしい。中国は広いですが、一般の中国人がやったことのないスポーツはまだ案外たくさんあり、そういう面でも中国より進んでいる日本で中国人観光客を呼び込む余地は大きいと感じています。

  
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