こんな子 こんな時 こんな絵本

2010年10月7日

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安冨ゆかり (やすとみ・ゆかり)

JPIC読書アドバイザー

JPIC(財団法人出版文化産業振興財団)読書アドバイザー。一女の母になったことから絵本の世界へ。書店や病院などでの読みきかせ、おはなし会で、子どもたちと絵本の世界を楽しみ、各種イベント・講習会など、絵本や読みきかせの楽しさを伝える活動にも参加している。別冊太陽「心をつなぐ読みきかせ絵本100」「続・心をつなぐ読みきかせ絵本100」(平凡社)執筆メンバー。

 来年春の入園児を対象にした、幼稚園や保育園の募集が始まる季節になりました。社会生活、集団生活への第一歩。子どもの人生を左右する一大事とばかり、親としての責任とでもいうのか、妙なプレッシャーを感じたことを思い出します。何歳で入園させるか、保育園なのか、幼稚園にするのか。親の子育てに対する考え方を、一つの形にする作業にもなるわけですから、大変なことは間違いありません。

『みんなのかお』(福音館書店) 戸田杏子・さとうあきら 著   日本中の動物園を回って撮影した写真絵本。

 我が家のその時期を思い出すと、私もいくつかの幼稚園を子どもと一緒に見に行きました。園舎や園庭、教育方針や先生方の様子など、チェック項目はいろいろありますが、何より気になったのは在園児の様子です。そんな中、車いすの女の子が、元気に走り回っている園がありました。周りの子どもたちも、当たり前のことと受け止めている様子。それは、温かさとすがすがしさを感じるものでした。3年間その園に通った娘も、障害のあるお子さんと同級生になる体験をすることになりました。それは、それぞれ状況の違う人を、そのまま自然に受け入れて接する、貴重な体験になったようです。親子共に好きな絵本『みんなのかお』(福音館書店)には、見開きに1種類ずつ、いろいろな動物園のゴリラやキリンの顔が並んでいます。そして、全部がゴリラでありキリンでありながら、一つひとつは驚くほど違うのです。私は、笑いながらも、普段、十把一絡げ的な見方をしがちなことを反省するのです。さて、娘はどう見ているのか、今度聞いてみようと思います。

「見えない」って、どんなこと?

『みえないってどんなこと?』(岩崎書店) 星川ひろ子 著   アイマスクをした遊びなどを通じて、全盲のめぐみさんと触れ合う、「心で見る」ワークショップから生まれた、こちらも写真絵本。

 さて、最近、メガネのない生活は、考えられない状況になってきました。数年前には想像もしなかった事態に、なってみないとわからないとはこのことか! と日々痛感し、改めて、視力を失っている方々のことを思います。『みえないって どんなこと?』(岩崎書店)は、小学校で行われたワークショップから生まれた写真絵本です。盲導犬のエルバと共にやってきためぐみさんは、アイマスクをつかって、子どもたちに“見えないこと”を体験してもらいます。そして、ゲームを通して、視覚以外の能力を活用することを伝えてくれます。普段の生活の様子も話してくれました。街中の点字表示や点字ブロック、商品に付いている凹みや出っ張りのこと。電話機の“5”の数字にはちいさな出っ張りがあって、他の数字の場所が判るようにしてあること、ご存知でしたか。私は、すぐに自宅の電話機や携帯電話を確認しました!

 めぐみさんは言います。「前よりは便利になってきたけれど、広いスーパーでは、どこになにがあるか覚えづらいし、ラップのかかった食べ物の中味は、触っただけではわからない。盲導犬のエルバは、私の買いたいものを探すことはできないし」。だから、「何かお手伝いすること、ありますか?」と声をかけてもらえると、本当にうれしいと。耳が痛い、言葉です。

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