使えない上司・使えない部下

2017年10月17日

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逃げるなんて、本当に無責任。それこそ、「使えない上司」

藤田雅博さん

 親父が死んだとき、困ったのです。親父が社長をしていた頃は、社員が数年ごとに辞めていく。長い人でも、10年くらいだった。社員を育てていなかったから、会社の経営を支える仕組みができていない。僕は、その仕組みをつくることがこの11年間の大きな仕事でした。

 小さな会社だけど、社員が気持ちよく働いてくれる環境を整えるようにしたのです。社会保険労務士にお願いして、労働時間の管理も厳格にしました。社員が、仕事についての改善や提案が言えるような雰囲気をつくるようにしています。仕事に問題がある場合は注意しますが、親父のように怒鳴ることはしない。

 会社の仕組みは、親父の路線ではつくれないでしょう。あそこまで言いたい放題に言えるのは、ある意味ですごい…(苦笑)。ストレスはなかったのかな。

 時々、親父は社員のことを「あんな奴は使えねぇよ。次の奴を雇えばいいよ」と言っていました。僕は、使えないような人でも使えようにするのが、雇った側の責任だと思います。顧問契約をしている社会保険労務士からも、そんなことを言われるのです。

 僕はいろいろと考えることが多くて、疲れてしまうときがあります。社長を辞めたい、という思いがよぎったこともある。だけど、逃げることができない立場です。社員の生活を守らないといけない。業者さんにお金をお支払いしないといけない。お客さんもたくさんいます。今は、ホームページなどから注文をしてくださる方が増えています。無責任なことはできないでしょう。

 大きな会社ならば「使えない社員」がいても、人事異動をさせたり、リストラをしたりする。ある意味で、会社としての逃げに僕には見えます。社員が10人前後しかいない藤田道具では、そんなことはできません。

 大企業のサラリーマン社長が、不祥事を起こしたときに記者会見をして、頭を軽く下げて辞めますね。莫大な退職金をもらいながら…。あれは、超サイコーですよ。うらやましい。いいなあ…。逃げにしか見えせんが。

 今の夢は、どこかの田舎に行って、しばらくのんびりすること。昼になると、食堂のメニューをじっと見て、何を食べようか、と考えこみたい。30分かけて食べて、残りの30分は公園で休憩しようかな。だけど、そんなこともしていられない。社員がいるし、お客さんも業者さんもいる。

 僕は、子どもと一緒に空手道場に通っています。師範から言われます。

 「逃げてはいけない。嫌な奴からいじめを受けても、学校へ行くんだ。会社でも、社会でも、嫌な奴はいる。だからこそ、行くんだ。行って、行って、行きまくる。それが、嫌な奴を見返すことになる」。

 僕も、会社の経営が苦しくとも、逃げてはいけないと自分に言い聞かせています。逃げるなんて、本当に無責任。それこそ、「使えない上司」です。

  
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