2024年4月25日(木)

From LA

2017年10月17日

世界中に物流網を持つのはアマゾンのベソス氏

 一方、ブランソン氏が持っているがマスク氏にはないもの、つまり欧州、米国、オーストラリアを結ぶ航空網とハイパーループの組み合わせにより、ブランソン氏は非常に強力な近未来の交通網を打ち出すことができる。

 さらに、ライバル3人のうち物品販売で世界中に物流網を持つのはアマゾンのベソス氏。もしヴァージンとハイパーループの組み合わせが物流の部分で大きな進歩をもたらすとすれば、ベソス氏がこの計画に参画する可能性もある。

 現在は個別に衛星やロケット打ち上げ計画を進める3人だが、もしこの3人が手を組めば民間の宇宙旅行も衛星によるインターネット網も考えられているより早く実現することも可能だろう。これまでは考えられなかったことだが、今回のブランソン氏の動きにより、もしかしたらライバル関係から協力関係に移行、ということもあり得るのでは、という期待も生まれる。

 もし、という前提ではあるが、協力関係が実現すれば世界の人とモノの移動は飛躍的な進歩を遂げるだろう。マスク氏の提唱するトンネル内の自動走行により車での移動はスムーズかつ渋滞なく行えるようになる。長距離移動はハイパーループを使えばロサンゼルスーサンフランシスコ間が30分となる。そして空港から大気圏外航空機で世界のどこへでも30分で移動できる。物流も同様に、世界のどこにでも貨物を30分で運べ、そこからドローンによる宅配で消費者は丸1日もかからずに日本で米国の商品を受け取ることも可能になるだろう。

 そんな未来絵図は果たして可能なのか。今回のハイパーループ・ワンとヴァージンとの提携は、そのような夢を抱かせてくれる第一歩になるかもしれない。

  
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