中東を読み解く

2017年10月17日

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総崩れのIS

 IS壊滅のためイラクとクルド人を軍事的に援助してきた米国は両者の衝突と対立で、土壇場のIS掃討作戦に支障が出るのではないかと憂慮している。イラクのISは最大の拠点だったモスルに続き、10月に入って最後の都市部の拠点だったハウイジャを失い、占領地域は最盛期の1割にまで急減した。

 残党勢力は西部アンバル州のシリアとの国境沿いの砂漠地帯に追い詰められているが、追われればそのままシリア領デイル・ゾール県に逃げ込むなど国境を出入りして生き残りを図ろうとすると見られている。しかし、政府軍とペシュメルガが交戦するとなれば、ISの追跡が鈍るのは必至だ。

 一方のシリアでもISの弱体ぶりは極まり、事実上の首都であるラッカが10月中に陥落するのは必至と見られている。ISと戦っているシリアのクルド人主体の「シリア民主軍」によると、ラッカは9割以上が解放され、約100人のIS戦闘員が小区画に立てこもって最後の抵抗を続けている、という。

 ラッカから脱出したIS幹部らが逃げ込んだとされるユーフラテス川沿いのマヤディーンも先週、シリア政府軍によって制圧され、国家を標榜したISは総崩れ状態に陥っている。

 死亡説が流れながら、9月末に肉声の録音メッセージが公表されたIS指導者のバグダディはメッセージ中で、「窮状はアッラー(神)からの贈り物」として強気の姿勢を見せた。アッラーはどのような末路を彼に用意しているのだろうか。

  
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