田部康喜のTV読本

2017年10月25日

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田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 日本テレビ「奥様は、取り扱い注意」は、第1回(10月4日)の冒頭から某国の諜報部員役の菜美(綾瀬はるか)が敵をアクションでねじ伏せる、という驚きのシーンを魅せた。

 諜報部員に嫌気がさして、橋から川に落下して死を偽装した、菜美は派遣会社の社員となり、受付嬢をするようになった。合コンで知り合ったIT企業の社長・伊佐山勇樹(西島秀俊)と結婚する。菜美は自分の過去を隠している。

(iStock/kazoka30)

 原案・脚本・アクション指導は、小説『GO』によって直木賞を受賞した、金城一城である。春ドラマの「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」(カンテレ)に続く作品である。自伝的な小説『映画篇』はアクション映画のファンの青春の息吹があふれている。

深刻なテーマと「お約束」のシーン

 町内の事件の解決にあたる菜美は、食卓に向かいながら夫の勇輝(西島)とさりげなく相談する。

 「それにしても、こんなちっぽけな町内でいろんなことが起きているんだなぁ」と、勇輝はうなずくのだった。

 第1回では、家庭内暴力に苦しむ主婦を菜美が救う。第2回(10月11日)のテーマは、元AV女優の隣人が町内の嫌がらせを受ける、ネットの「忘れられる権利」だった。最近は「穏やかに暮らす権利」ともいわれる。第3回(10月18日)は、子どもが幼稚園に通う母親同士のいじめが描かれる。

 深刻なテーマについて、シーンの展開も軽やかに微笑を誘う大団円に至るのは、家事と料理が苦手な菜美役の綾瀬のコメディアンヌぶりと、あざやかなアクション、夫の勇輝(西島)とのラブロマンチックが「お決まり」ごととして巧みに織り込まれているからである。

 菜美が料理教室で友人になった、大原優里(広末涼子)が論理的なしっかり者役となり、ちょっととぼけた味わいの佐藤京子(本田翼)とのコンビが絡んで、ドラマが進展していくのも楽しい。

 第3回は、高校生3人が中学生を路地裏で恐喝しているところに出くわした、菜美がアクションで3人をなぎ倒す。相手に向かって、右手の人差し指を屈伸させて招く仕草をするのも「お決まり」である。

 このシーンをスマートフォンで録画した、町内の主婦の清水理沙(小野ゆり子)は菜美を脅すのだった。「受付嬢をしていたって聞いているけど、あなた、危ない仕事をしていたんじゃあない。旦那さんは知っているの?」と。

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