中国人観光客はいま

2017年11月2日

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中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)などがある。

――なるほど。一方で、中国の美容サロンでは、まだそこまでのレベルには達していないということでしょうか?

朱峰氏:そうですね。中国の美容サロンは技術レベル、サービスレベルの両面でまだ日本のレベルには到達していないと思います。日本の場合、美容院の数が非常に多く、全国に約24万軒あり、これは信号の数より多いともいわれています。とくにバブル期の80年代は多かったそうです。しかし、人口減少や景気などの理由により淘汰の時代に入ってきました。弊社も最盛期は100店舗以上あったのですが、現在は67店舗。これらのサロンの経営安定と質やサービスの向上を図っていかなくてはいけないと思っています。

 中国の資本が入ったことにより、日本のモッズ・ヘアのブランドを安定的に継承し、歴史と文化を守っていくことに努めたいと思っていますが、同時に、フランチャイジーである中国でも店舗展開を図っていくつもりです。

エム・エイチ・グループ 代表取締役兼執行役員社長 朱峰玲子氏

――具体的にはどのような計画がありますか?

朱峰氏:あらゆる面で日中美容の相互交流を増やしていきたいと思います。たとえば、中国の「モッズ・ヘア」で働く美容師を日本で受け入れて、研修を行う予定です。カットなどの技術はもちろん、美容サロンの経営やサービス、美容サロン全般についてのノウハウを指導していきます。また逆に、日本人の美容師を中国の店舗に派遣し、技術指導を行っていきます。日本では「カリスマ美容師」などの言葉もあるように、最近では美容師の地位が上がってきていますが、中国ではまだまだ。中国でも美容師がプライドを持っていい仕事ができるようになればと思って、その手助けをしたいと思います。中国の美容師にとっても、日本のよいお手本を見ることにより、いい刺激となり、モチベーションアップにもつながると思います。

 さらに、中国の雑誌にも情報提供しています。「瑞麗」という人気の女性誌には弊社のトップ美容師の写真や記事が掲載されました。日本の最先端の美容技術を持つ美容師の話が載った記事は中国でも人気で、よく読まれます。メディアを通して日本の美容事情を発信していきたいと思っています。

 私たちのスローガンは、(1)世界基準、(2)日本品質、(3)現地感覚、の3つです。この3つをクリアすることで国際ブランドとして地位を確立できると思いますし、今後、中国の「モッズ・ヘア」もこの3つを達成できるようにしたいと思います。

――インバウンドという枠にとどまらず、中国にも日本の「モッズ・ヘア」のブランドや精神が継承されていくのですね。

朱峰氏:その通りです。日本にはすばらしい技術や伝統、ブランドがありますが、これを維持していくためにもインバウンドを行い、中国との相互交流を行いながら、双方がwin-winの関係になることが大切だと考えています。また、私は中国の経営者たちから頼まれて日本企業を見学するお手伝いをしています。日本企業の経営の中身をもっと知りたい、日本で培われてきた技術や経験を学びたいと思っている中国人は非常に多いのです。多くの中国人が日本のブランドや経営を参考にしていますので、今後も弊社の経営安定化と発展はもちろんのこと、幅広い分野で、相互理解と交流に努めていきたいと思っています。

  
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