WEDGE REPORT

2017年11月1日

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 みどりクラウドには、こうしたデータの蓄積に加え、緊急時のアラーム機能も付いている。事前に設定しておいた温度や湿度、土壌水分量などの数値を超えた場合に、自動でスマホやPCにアラームが届く仕組みになっている。

スマホ画面には、ハウス内の温度、湿度、土壌水分量など、さまざまな情報がリアルタイムで表示される(写真・Wedge)

 「ハウス栽培では、ハウスの開閉による温度調節が非常に重要。一度開閉を失念して温度調節に失敗すると、その年の作物が全滅する。経験の浅い若手農家は特に難しい。この地域でも、温度調節に失敗するケースが例年起きている。そうなると再び収穫できる状態になるまで4、5年はかかるので、JAでも頭を悩ませていた。それが解決できるのは非常に大きい」と、JAフルーツ山梨営農指導部長の反田公紀氏はその効果を語る。実際に、手島さんのスマホにも数日前にアラームが届いていた。こうした栽培リスクが解消されることも、農業への新規参入の障壁を下げることにつながるだろう。

ベテランの視点の動きを分析
みかん農家が取り組む技術継承

 一方、熟練農家の実践的な作業技術をデータ化し、若手農家や新規農業従事者の育成に活用する取り組みを行っているのが「三ケ日みかん」が特産の三ケ日町(浜松市)だ。静岡県と慶應義塾大学、NECソリューションイノベータ(東京都)、JAみっかびが連携し、みかんの剪定(せんてい)や摘果、収穫などの工程における熟練農業者の技能をデータ化した学習プログラムを開発している。

アイトラッキング
(TOBII TECHNOLOGY K.K.)

 この取り組みに協力するみかん農家の津ケ谷幸一郎さん(69歳)は、メガネ型の「アイトラッキング」を装着して農作業を行う。このメガネは、津ケ谷さんの視点がどこに向いているのかを追い、その動きを細かく記録していく。それとあわせて、各工程で農家に作業のポイントをインタビューすることで、インタビューの答えと視点データを比較することができる。これにより、実践的な技術を体系的にまとめられ、さらに熟練農家が意識していなかったような作業技術も見つかる可能性がある。協力する生産者は、ベテラン農家2人、中堅農家2人、若手農家2人の計6人。農業経験年数が異なることで、見ている部分や作業動作の違いを明らかにし、学習に生かすことができる。

アイトラッキングを使うことで(左)、熟練農家が作業時にどこを見ているかをピンポイントで把握することができる(右)(写真・Wedge)

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