BBC News

2017年10月25日

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中国共産党は25日、党の最高指導部にあたる政治局常務委員会の新体制を発表した。しかし、習近平総書記(国家主席)の後継者を示唆する人事はなかった。

慣例となっていた明らかな後継者の提示がなかったことで、習氏が今後5年の権力掌握を確実にし、あるいはその後も権力を維持する可能性が示されている。

24日に閉幕した党大会では、習氏の政治理念を「習近平思想」として党の憲法に相当する党規約に盛り込む改正案が承認された。

常務委員会7人の顔ぶれは、留任となった習主席(64)と李克強首相(62)のほか、昇格した汪洋副首相(62)、韓正・上海市党委員会書記(63)、趙楽際・中央組織部長(60)、栗戦書・中央弁公庁主任(67)、王滬寧・中央政策研究室主任(62)の5人。

韓正氏と趙楽際氏はそれぞれ、中国人民政治協商会議と中央規律検査委員会を率いる。習氏に近い栗戦書氏は全国人民代表大会(全人代)のトップに就任する見通し。

中国では過去数十年間にわたり、現指導者の最後の任期に後継者と目される1人もしくは2人を常務委員会のメンバーに任命してきた。

習氏が今回、腹心とされる陳敏爾氏(56)と胡春華・広東省党委書記(54)を常務委員に昇格させるとの憶測があった。2人は現在50代で、習氏の後継として十分若い。

しかし、25日の新体制発表時に、黒っぽいスーツを着て前に並んだ全員が60代だった。5年間の任期後には全員が引退する可能性が高い。

より若い世代から常務委員が選ばれなかったことは、習氏の長期的な目標や後継者に関する考えをめぐって多くの憶測を呼ぶとみられる。

新体制発表前には、習氏が常務委員会の構成を5人に減らし、統制を強化するとの憶測も出ていた。

BBCや英紙フィナンシャル・タイムズ、米紙ニューヨーク・タイムズを含むいくつか国際的な報道機関が、人民大会堂での新体制発表の取材を認められなかった。

中国外国特派員協会はこれについて、「報道の自由の原則に大きく違反している」とするコメントを出した。

習氏にとって意味するもの

常務委員会に後継者と目される人物が加わらなかったことは、習氏による今後5年間の権力固めに加えて、2022年以降も習氏が何らかの地位を維持する可能性を示唆している。

24日には、党大会で習氏の政治理念が「習近平思想」として党規約に盛り込まれ、習氏は毛沢東に並ぶ権威を得た。

「習思想」が全会一致で承認されたことで、中国国内における習氏の政治力は大きく高まり、習氏を攻撃するのはほぼ不可能になった。さらに習氏は、将来引退した後も長期間にわたって影響力を維持し続けられる可能性が高い。

2012年に総書記に選出され、翌年国家主席となった習氏は、今回の党大会で2期目の5年間をスタートさせる。

近年の中国指導者は10年で交代してきたが、規定上は習氏が国家主席を退任する2022年以降も、党や軍のトップであり続けることは可能。主席退任後も習氏が影響力を維持することができる。

習氏の下で中国はどのように変化したか

2012年のトップ就任以来、習氏には、中国の「中核」指導者など、さまざまな称号が授けられてきた。

習氏の1期目、中国は経済を大きく発展させ、近代化を進め、世界の舞台で主張を強めた一方、権威主義的な統治が強まり、検閲や人権侵害の事例が相次いだ。

習氏が主導した幅広い汚職撲滅運動では、100万人以上の当局者が処罰された。一部には、反汚職運動が習氏の党内ライバルの大規模な粛清に使われたとの見方もある。


「習近平思想」とはどんなものか

一見したところ曖昧な美辞麗句のようだが、習氏がトップに就任して以来掲げてきた理想の共産主義を説明している。

14の主な項目は、国の統治のあらゆる側面で共産党が果たす役割を強調するほか、以下の内容がうたわれている。

  • 「完全で深いレベルでの改革」や「新しい発展のアイデア」への呼びかけ
  • 「人間と自然が調和する生き方」の約束。これは環境保護の向上だけでなく、国内の電力需要の大きな部分を再生可能エネルギーが担うようにするという従来の方針を意味するかもしれない
  • 「人民軍に対する共産党の絶対的な支配」の強調。同時に現代中国史最大の規模だと専門家らが指摘する軍幹部の入れ替えが実施されている。
  • 「一国二制度」と本土との統合の重要性の強調。これは明らかに香港と台湾を念頭に置いているとみられる。

(英語記事 China congress: No heir apparent as Xi reveals top leadership

提供元:http://www.bbc.com/japanese/41745737

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