前向きに読み解く経済の裏側

2017年10月29日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

目処は、退職時点の金融資産2000万円

 60歳で退職金を受け取り、住宅ローンなどを完済します。その時点で金融資産が2000万円あれば、とりあえず何とかなりそうです。65歳までは働いて生活費を賄うことで2000万円は温存しましょう。退職金を年金で受け取る場合も、考え方は同じです。生活費は働いて捻出し、年金として受け取る退職金はそのまま貯蓄しておきましょう。

 65歳から年金を22万円受け取り、毎月3万円ずつ補填しながら生活することになります。92歳まで27年間で、1000万円ほど必要です。万が一の場合の500万円を残すとして、合計必要額は1500万円です。もっとも、27年間の間に「マクロ経済スライド(少子高齢化で年金が削られていく制度)」で年金が削られたり、インフレが来て預金が目減りしたりする事に備えて、500万円くらいの余裕は持っておきたいですから、2000万円が一つの目処と考えて良いでしょう。

 後述のように、年金の受給開始を70歳まで待つと、毎回の受給額が42%増えますから、待つ場合についても考えてみましょう。65歳から70歳までの5年間で金融資産を取り崩して生活するとすれば、毎月25万円ずつ金融資産が減っていきますが、65歳時点で2000万円あれば、70歳時点で500万円残るでしょう。これを万一の場合の備えとし、70歳以降は年金だけで十分暮らして行けます。毎月の年金が22万円の1.42倍受け取れますから、当初はむしろ余裕があるでしょう。もっとも、「マクロ経済スライド」などを考えると、余裕分は貯金しておきたいですね。

自営業者は定年が無いので、老後も元気な間は働こう

 自営業者は、個々の事情が大きく異なるでしょうが、退職金が出ない上に、公的年金もサラリーマンに見劣りします。夫婦2人とも40年間国民年金保険料を払い続けた場合でも、2人合計で毎月13万円程度しか年金が受け取れません。ただ、サラリーマンと比べた大きな安心材料は、定年がないので、元気な間はいつまでも働くことができる、ということです。元気な間は働けるだけ働きましょう。

 今ひとつ、自営業者は、公的年金が充実していない分だけ、iDeCo(確定拠出年金個人型)の拠出限度額がサラリーマンより大きく設定されているほか、国民年金基金、小規模企業共済制度、付加年金も使えます(併用する際の限度額等には要注意)。これらは、自営業者が老後資金を蓄えることを支援するために用意されている税制上の優遇措置ですから、大いに活用しましょう。要するに、若い時から老後に備えて貯金しましょう、その際は税制上の優遇措置を活用しましょう、ということですね。

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