家電口論

2017年11月2日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

ソニーとパナソニック

 ソニーの有機ELテレビ:A1シリーズ、パナソニックの有機ELテレビ:EZ1000シリーズ。この2つのテレビの画質は素晴らしい。これは画質コントロール回路で、差別化を図ろうと考えている両メーカーの考えが成功したことを示している。双方とも暗部の描写は本当に美しい。

展示されていた、ソニーのA1

 ソニーグループのソニーピクチャーは、アメコミ映画で有名。中でもバットマンは黒のコスチュームで夜出没する。黒の描写が適確でないと、映画としてなり立たない。パナソニックはハリウッドに研究所を持っており、いろいろな監督と理想の画質を求めている。画家も自分の表現のために、新しい色を作り出すが、映画も同じ。特にCGが当たり前になった今、撮れた画ではなく、作り込んだ画を観てもらうのに高画質テレビは欠かせないのだ。

パナソニックのテレビ展示。左)液晶テレビ、右)有機ELテレビという区分け

 そして音。ソニーのアプローチはユニークだ。テレビ表面を振動させて音を出すのだ。そうすると画像が振動しマズイのではと考える人もいるかもしれない。それが大丈夫なのだ。通常は音を出すのはスピーカーを用いる。コーン紙という特殊な紙を振動させ音を出すのだ。この時、音量は音を伝搬する空気の体積で決まる。つまり「スピーカーの振動する面積×振動幅」だ。この基本は、テレビ画面をスピーカーとして使う場合も同様。しかし、スピーカーの何倍もの面積がある。つまり、ごくごく小さな振動幅で済むというわけだ。人間の眼で捕らえられないレベルなのだ。ソニーのA1シリーズは凝ったことに、画面を2分割駆動させている。喋る人の位置に合わせて振動する位置を変える。

 実はこの原理は、かなり前から知られている。IFAでも中国メーカーのブースで展示されていたくらいだ。しかしソニーが使うまで、テレビで使われることはほとんどなかった。ブラウン管も、液晶テレビも、表面がガラスだからだと思われる。振動させにくいし、音も硬い。有機ELパネルの場合、表面は樹脂。有機ELパネルは、液晶パネルに比べ、工夫できる余地が多い。

 ソニーがユニークなら、パナソニックはオーソドックス。小型のスピーカーが目立たないように仕込まれている。ポイントは『テクニクス・チューン』。テクニクスはパナソニックのオーディオブランド。2016年からベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と技術提携。ベルリン・フィルのライブ中継、「デジタル・コンサート・ホール」のサポートを行っている。今年の「デジタル・コンサート・ホール」は4K、HDRの映像配信が話題だが、世界で1、2を争うこの楽団の配信の音サポートはテクニクスの役割。実際、平面スピーカーとは思えない音だ。

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