WEDGE REPORT

2017年11月2日

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入国禁止が再び論議に

 それにしても車暴走テロは今や、テロの手法としては最も当たり前になった。2016年7月のフランスの保養地ニースでのトラック暴走テロで86人が犠牲になって以来、英国、ドイツ、スウエーデン、スペインなどで同様のテロが続発。

 車がテロの手段として使われ始めたのは、銃や爆弾など入手が難しいものとは違って、誰でも、いつでも、簡単に入手ができ、多数を殺害することが可能だからだ。ISの機関誌「ルミヤ」最新号でも、「トラックでひき殺せ」と欧米でのテロを呼び掛けた上、テロを実行した後、叫んで犯行をアピールするよう指示している。今回の場合、サイポフが「アッラー・アクバル」と叫んだことと符号する。

 またアルカイダの“若き獅子”と呼ばれている9・11の首謀者オサマ・ビンラディンの息子ハムザ・ビンラディンも同様に、車によるテロを支持者らに呼び掛けており、今後も車暴走テロが増えるのは確実だろう。 

 トランプ大統領は事件後、「ISが米国に戻ったり、入ったりするのを許してはならない」とツイート、国土安全保障省に対し、外国からの入国審査を厳しくするよう指示したことを明らかにした。

 トランプ氏は政権発足直後からイスラム教徒らの入国禁止大統領令を出すなど入国規制に乗り出し、10月18日から施行するとして、イラン、リビア、北朝鮮、シリア、ソマリア、イエメン、チャド、ベネズエラの8カ国からの入国禁止令を出した。

 しかし、ハワイ州の連邦地裁がこれを無効とする決定を下し、待ったがかかった状態になっている。ウズベキスタンはこれらの国に含まれていないが、今回の事件を契機に再び、入国禁止問題の論議が高まることになるだろう。

 だが、入国禁止などの措置を強化したとしても、車によるテロを封じ込めることにはならない。一匹狼のテロリストがテロを思い立ち、レンタカーを借りるか、車を盗むことができれば、簡単に犯行の実行が可能だ。「事実上、防ぎようがない」(テロ専門家)。

 パリのシャンゼリゼなどでは、車が進入できないよう、歩道脇に大きな石などの障害物を設置しており、世界各地の繁華街の通りなどではこうした方法が有効だが、すべての通りに設置できるわけがない。結局は、歩く時もたえず注意を怠らないように心掛けることが身を守る最善の方法だ。

 5日からのトランプ大統領の来日を前に、都内では警察官の大量動員による警備フィーバーがすでに始まっているが、東京オリンピックが近づくにつれて、主要な通りに車を歩道に入れないよう障害物が設置されることになるだろう。テロ対策といえ、興ざめの時代になったものだ。
 

  
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