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2017年11月5日

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小泉悠 (こいずみ・ゆう)

財団法人未来工学研究所客員研究員

1982年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。民間企業を経た後、2008年から未来工学研究所。09年には外務省国際情報統括官組織で専門分析員を兼任。10年、日露青年交流センターの若手研究者等派遣フェローシップによってモスクワの世界経済・国際関係研究所(IMEMO)に留学。専門は、ロシアの軍事・安全保障政策、軍需産業政策など。著書に軍事大国ロシア』(作品社)、『プーチンの国家戦略』(東京道堂出版)『ロシアの軍事情報を配信するサイト「World Security Intelligence」(http://wsintell.org/top/)を運営。

国防と政治

 ロシアにおける徴兵制の今後に再び目を転じると、プーチン大統領の述べるとおり、制度としての徴兵が縮小していくことはたしかであろうと思われる。完全に廃止するには時間がかかるだろうが、徴兵をやや減らす一方で契約軍人はさらに増加させ、両者の割合を1:2にするというのがロシア軍の計画だ。

 だが、ロシア軍のゲラシモフ参謀総長は、「参謀本部はいかなるときも大規模戦争の可能性を忘れたことなどない」と述べている。となれば、平時の100万人では対処しきれない事態が生じたときのために予備兵力を動員しうる余地を残しておかねばらない。

 そこでロシアでは近年、大学や学校における基礎軍事訓練の導入など、徴兵以外の方法で動員可能な人材を確保しようとしている。この種の基礎軍事訓練はプーチン政権の進める若者の愛国教育とも相性が良く、最近ではロシア国防省肝いりの青年団体「ユナルミヤ(若き軍隊)」も立ち上げられた。

 「ロシア国防省は新世代のロシア人を育成しているのだ」というショイグ国防相の最近の発言は、国防と政治の要請がロシアの若者たちの上で交差した、現在の状況を端的に示すものと言えよう。

  
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