WEDGE REPORT

2017年11月11日

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風樹茂 (かざき・しげる)

作家、国際コンサルタント

作家、国際コンサルタント(kazakishigeru@gmail.com)。1956年、北海道生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。メキシコ留学後、中南米の専門商社を経て、南米アマゾンの奥地でODAプロジェクトの鉄道建設にかかわる。その後は、シンクタンク、研究所勤務などで、首相向けの政策提言、ODA援助、海外投資、NGOプロジェクトに従事。イスラム開発銀行のコンサルタントも経験し、30数カ国を踏査。石油関連事業でカタール、ベネズエラに駐在。

グアンタナモ基地は風前の灯だった

 アメリカは、イラクやアフガンの捕虜収容で有名になった、面積116キロの広大なグアンタナモ海軍基地をキューバ内に永久租借している。当時、米爆撃機がキューバ攻撃準備をしていた。

 そこで、10月27日にはソ連軍に攻撃準備命令が発せられ、核弾頭が搭載したFKR巡航ミサイルが25キロ離れた地点フィリピナスから、基地に標準を定めていた。サンティアゴ・デ・クーバに駐在するイギリスの領事が、ソ連のロケット弾発射装置がフィリピナスに配備されているという噂を上司に伝えると、こんな答えが返ってきた。

グアンタナモのアメリカ当局はフィリピナスの基地のことは知っていて、興味も持っていない。ロケット弾といっても、小型の誘導ミサイルで、核弾頭だって装着していないのだからね

 コメント:現在、スパイ衛星が撮る写真はずっと精度が増しているが、分析するのはしょせん人間である。さらに、キューバ核ミサイルには中国が関与しているという思い込みは致命的だった。このとき沖縄の核ミサイルは中国に標準を定めて発射の準備がなされていた。

3.独断専行 

 ソ連の地下指揮所で、レーダーがキューバ深く侵入するU2偵察機の姿を追っていたとき、責任者であるブルーエー大将は休憩中で不在だった。U2はグアンタナモの戦術核の写真も撮ったに違いなかった。防空システムの責任者と軍事作戦立案の副司令官はこう話しあう。

「こちらの軍事機密をむざむざペンタゴンの手に渡すわけにはいきませんからね」

「よし、ふたりで責任をとろう」

「標的第33号を破壊せよ。二基のミサイルを使用せよ」

2基のミサイルはレーダーを通じて標的にロックオンし、次第に加速しながら、優雅な弧を描いていった。数秒後、3つの点がひとつにまとまったかと思うと、一瞬にしてばらばらになった。

 コメント:軍人は攻撃される前に習性として相手を攻撃する。また歴史を知る日本人は中国戦線で日本軍が独断専行したことを覚えているはずだ。

4.破壊工作 

 10月27日カストロは、中南米にちらばるキューバの工作員(キューバ人とは限らない)に、中南米全土とアメリカの軍事施設、政府庁舎、トンネル、映画館など、片っ端から爆破せよとの命令を下した。数時間のうちに、ラテンアメリカではもっとも親米的とされていた国ベネズエラで、複数のアメリカ企業やマラカイボの石油施設に対する小規模の爆弾攻撃が次々に起きた。
 
 コメント:北朝鮮の破壊工作はどこを標的にするのだろうか?

5.カストロは玉砕精神だった

 カストロは、通常兵器による戦争はたちまち核の応酬に発展するとみていた。のちに彼が回想したところによると、「いずれにせよ、当然、これは核戦争になり、われわれはこの世から消えてしまうのだと思っていた」という。アメリカの占領に屈するよりも、同志ともども「国を守って死ぬ覚悟を決めよう」と思っていた。アメリカの侵略者たちに対して、戦術核兵器の使用を許可することにはなんの抵抗も感じなかった。たとえ今後何世代にもわたって、キューバ国民の健康がむしばまれる結果になってもかまわなかった。カストロもほかの首脳陣も、核戦争が起きればキューバが「全滅する恐れがある」ことは重々承知していた。死ぬ覚悟はできていた。

「最高の尊厳のために」

 コメント:日本人の一部はキューバ革命が大好きである。「祖国か死か」。キューバ革命の標語が日本人の感性を刺激するのだろう。けれども、キューバでは若者が「一度でいいから牛肉を食べたい」といい、キューバ化されたベネズエラでは餓死者が出始めているのを私は知っている。玉砕精神が何をもたらすかは歴史の示すところである。

 さて、北朝鮮の金正恩はカストロ化しているのだろうか? カストロはフルシチョフにアメリカ本土への先制核攻撃を依頼する。 

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