定年バックパッカー海外放浪記

2017年11月12日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年生まれの62歳。横浜生まれ、神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

なぜ公開TV討論番組が成立するのだろうか

 カシミール問題は何度も戦火を交えて印パ両国民にとり絶対に譲れない領土問題でありお互いに“1インチも譲れない”と強硬である。そのデリケートな問題について両国を代表する知識人が公開討論して生中継で両国の全国ネットで放映しているのである。発言を一歩間違えば相手国の国民感情を刺激して政治問題化することもあり得るだろう。

 S氏によると印パ問題で両国民へ公開したTV討論会は最近では珍しくないという。相手側が何を考えているのかTVを通じて知ることは相互理解のために非常に有益であろう。ひいては戦争の抑止力になるのではないだろうか。

白く光っているのはインダス川の源流

日韓問題、日中問題で建設的公開討論は可能か?

 翻って日本を取巻く国々との関係を考えると建設的かつ論理的な公開討論は至難ではないかと悲観的になる。中国とは共産党支配体制という枠組みの中では意味のある公開討論は不可能だ。韓国とはどうだろうか。

 例えば日韓では従軍慰安婦問題を巡って両国民の認識には相当の乖離がある。韓国民の大半は日本軍が朝鮮人少女を強制連行して国家権力の下で日本兵の性奴隷にしたと理解しているようだ。少なくとも私が話した韓国の若者は全員がそのように教育を受けてそれを史実であると信じていた。

冬季は零下40℃となるパキスタン国境の山岳地帯。両軍の塹壕・砲台が睨み合っている

 他方で日本国民の認識にはバラツキがあるだろう。少なくとも過半数の日本人は日本国家が関与した強制連行はなかったものと認識しているであろう。少し自分で歴史を勉強した日本人であれば従軍慰安婦の相当数は貧しい階層出身の日本人女性であり、同様に朝鮮半島でもお金のために貧農層の少女が売られたり騙されたりして慰安婦にならざるを得なかったという歴史的社会的背景を理解しているのではないか。私も慰安婦問題の本質を過去の貧困社会における悲劇と捉えている。

インダス河源流の畔の秘境Turtuk村

 従軍慰安婦問題は日韓歴史認識問題のなかで現在最大かつ最難関の懸案課題だ。NHKとKBS(韓国放送公社)で従軍慰安婦問題について公開討論番組を両国民に生中継したらどうだろうか。勿論事前に慎重に論点整理してメンバーを厳選するなど綿密な準備が必須である。従軍慰安婦問題について日韓両国民の共通認識のプラットフォームが出来れば双方の距離が縮まるのではないか。

 カシミール問題に関する印パTV討論会を見ながら日韓関係改善について思いを巡らせた。

⇒第16回に続く

  
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