2024年4月26日(金)

韓国の「読み方」

2017年11月13日

繰り返される韓国の外交的不手際

 米中露という大国間の利害対立に巻き込まれやすいのは、韓国の置かれた地政学的な宿命だ。かつては日本も朝鮮半島の運命を左右する大国として存在していた。そうした厳しい立場であるからこそ、本来ならば、したたかな外交で乗り切らねばならないのだが、韓国外交にはそうした「したたかさ」が足りないように思われる。

 朴槿恵前大統領が2015年に北京での軍事パレードに出席し、日米から不興を買ったことは記憶に新しい。

 2001年2月末にソウルで行われた金大中大統領とプーチン露大統領の会談でも、韓国は米国の怒りを買っている。

 問題となったのは、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の重要性を両首脳が確認したという共同声明の項目だった。これは、1カ月前に就任したばかりのブッシュ米大統領が積極的だった米本土ミサイル防衛(NMD)導入をけん制したものと受け取られた。ABM条約はNMD導入の障害になりうると考えられていたからだ。

 3月上旬に訪米した金大中大統領は米韓首脳会談後の記者会見で、韓国がNMD構想に反対しているわけではないと釈明。ワシントンでの講演では、「そうした問題が起きたことを大変遺憾に思う」と言わざるをえなかった。首脳会談の共同声明について、2週間も経たないうちに一方の首脳が「遺憾」表明するなどというのは極めて異例のことだ。

「独島エビ」の晩餐会も同根か

 こうした手違いの起きる背景にあるのは、自分たちの立場に対するこだわりが韓国外交に強過ぎることのように思われる。自分たちの考える「あるべき姿」や正義に他国が協調してくれるはずだという楽観的予想が先立ってしまい、自分たちの意図と反対に受け取られたり、第三国を不必要に刺激したりするリスクを軽視しがちなのだ。

 今回のトランプ訪韓で問題となった青瓦台の晩餐会も、根は変わらない。元慰安婦を招き、「独島エビ」を供して日本の反発を呼んだが、これも「韓国の思いを米国に知ってもらいたい」という“純粋”な思いが先走った結果だろう。日本が反発することなど考えもしなかったに違いないし、トランプ大統領に熱い思いが通じたようにも思えない。

 一般の日本人には理解しがたいだろうが、韓国の実情を知る専門家にはそう考える人が少なくない。ちなみに外交の世界で「純粋」は美徳ではない。そんなに甘い世界ではない、はずだからである。韓国の対中観や「純粋さ」の背景を知りたい方は拙著『韓国「反日」の真相』(文春新書)や『文在寅とは何者か』(祥伝社)などを手に取っていただければ幸いである。

  
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