前向きに読み解く経済の裏側

2017年11月18日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

時間分散も重要

 株は、個別銘柄を選ぶよりも、日経平均や米国株価等に連動する投資信託(インデックス投信またはETF)を購入する方が、安心です。一つの銘柄が値下がりしても他の銘柄が値上がりすれば損は限定的だからです。特に、個別銘柄の選定に自信が無い初心者は、インデックス投信等を利用しましょう。

 外貨は、米ドルが安心でしょう。豪ドル等の高金利通貨に投資する人は多いのですが、高金利通貨が高金利である理由を考えてみましょう。豪州政府が世界中のプロに借金を頼み、断られたから高い金利で日本人個人投資家から借金をしようとしているのです。そう考えれば、やはり米ドルが安心ですよね。

 時間分散も、重要です。株やドルを買うタイミングを間違えると大損する可能性があるので、時間をかけて少しずつ買うのです。そうすれば、安い時にも高い時にも少しずつ買うことになるので、大損をするリスクが大きく減ります。大儲けのチャンスも減りますが、老後資金の運用は儲けるためというよりもリスクを避けるために行うのですから、これは仕方ありませんね。

株やドルが嫌な人には個人向け国債10年物がオススメ

 インフレに備えるための筆者のオススメは株と外貨ですが、株と外貨は値下がりする可能性があるから嫌だ、という読者もいるでしょう。1000万円あれば物価連動国債がオススメですが、そうでなければ次善の策として個人向け国債10年ものを検討してみましょう。

 これは、発行から1年間は原則として換金できない、等の留意点はありますが、元本割れの可能性はなく、金利も少しはもらえます。加えて、普通の国債は発行時点で将来の金利が決まってしまいますが、個人向け国債10年物は、将来世の中の金利が上昇すれば、支払われる金利も増えるのです。将来の日本がインフレになれば、世の中の金利が上がるでしょうから、個人向け国債10年物の利払い額も増えます。確実にインフレ分だけ金利が増えるとは限りませんが、リスクをとらずにある程度のインフレ対策ができるという面では、十分検討に値するでしょう。

政府の破産を予想するなら、ドルを持とう

 ここまで、日本政府は破産しないという前提で、「国債はリスクがない」と記して来ましたが、日本政府が破産すると心配している人も多いようです。「今の若い人は老後の年金がもらえない」というのも、これに近いです。若い人が老後に年金をもらえなければ、彼らの多くは生活保護を受給するようになるでしょうから、結局財政は破綻するからです。

 筆者は、財政は破綻しないと考えていますが、筆者と意見を異にする読者には、ドルを持っておくことをお勧めします。日本政府の子会社である日本銀行が発行している紙幣は、日本政府破産の噂が広まった時点で誰も持ちたく無いと思うでしょう。そこで、現物資産や外貨に換えようとする人が殺到し、超インフレと超ドル高になるはずだからです。

 ちなみに、筆者は日本政府が破産するとは思っていませんが、それでも金融資産に占めるドルの比率はかなり高くしています。大災害等の際の超インフレに備えるということもありますが、遠い将来は少子高齢化による労働力不足によって日本の経常収支が赤字化し、ドル高円安になるだろう、と予想しているからです。

 もっとも、読者が拙稿を読んでドルを買い、結果として損をしても筆者は責任を負いませんので、投資判断はご自身でお願いします。投資は、すべて自己責任ですから。

  
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