2024年4月20日(土)

From LA

2017年11月17日

 現時点でUPSが導入を検討しているのはダイムラー社のeCanterトラックだが、Chanjeあるいはテスラのものが性能面でも価格面でも勝っていればそちらに切り替えることも十分に考えられる。また全米を結ぶ物流網に使用される大形トラックではテスラのセミの導入の可能性は十分にあるし、家々を配達して回る郵便局のトラックではChanjeのようなミッドサイズのものがふさわしい、と考えられるだろう。(テスラでは大型の他ミッドサイズのEVトラック製作の予定もあるため、競合するかもしれない)もちろんUPSのライバルであるフェデックスも同様の計画を今後実施する可能性は非常に高い。

「トレイン・オブ・トラック」

 もう一点、テスラのセミで重要なのはこれがモデルSなどと同様にオートパイロット機能を持つ、という点だ。特に大型物流の面で、米国ではかねてから「トレイン・オブ・トラック」という考え方が提唱されてきた。トラックのように主にフリーウェイを走行し、数台が連なって物資を運ぶような場合、先頭車両に後続車両が一定距離で続くという方法で自動運転を導入すれば人件費が節約できる上に安全性も高まる。米国のフリーウェイを走っているとトラック同士の追い越しにより2車線が塞がれ渋滞の元になる、という事態に出会うことが多いが、トレイン・オブ・トラックならばこうしたことも少なくなり他のドライバーもストレスなく走行できるようになる。

 これまでは半ば理想論として語られていたこうしたことが、テスラのトラック進出により現実味を増すことになる。EVトラックの面でもテスラが覇権を握ることになるのか、「老舗」であるダイムラーを始め他の大手メーカーも追随するのか、あるいはChanjeのようなベンチャーが次々に生まれるのか。EVトラックの開発競争は今後が熱い。

  
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