赤坂英一の野球丸

2017年11月29日

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喧嘩腰の姿勢

 一昔前は、プロ野球でも他チームの選手、コーチ、関係者との交友を禁止している監督がいた。とりわけ中日監督時代の星野仙一(現楽天球団副会長)は厳しく、試合前に相手の選手と雑談をしただけで激しく叱責されたという。球界の慣例として、相手チームに高校や大学の先輩がいたら、後輩のほうから挨拶に行かないわけにはいかない。「でも、その先輩に話しかけられ、雑談に応じている姿を星野さんに見られたら、あとでどんなに怒られるかわからない。だから、先輩に挨拶するタイミングを計るのも一苦労なんだよ」と、当時の中日選手はもらしていた。

 最近は、侍ジャパンで異なる球団の選手が一緒にプレーする機会が増えたこともあり、試合前に敵同士のはずの選手が雑談している姿は珍しくなくなった。試合前、よく巨人の野手と話し込んでいた広島の投手に、「試合になったら内角へは投げづらいんじゃないの?」と聞くと、「いや、ふだん仲よくしているからこそ試合ではしっかり抑えなきゃと思うんですよ」と言われた。一方で、「やっぱりインサイドは攻められなくなりますね。とくに奥さんや子供の写真とか見せられてると、ぶつけちゃまずいと思うもんな」という投手もいた。たぶん、こちらのほうが多数派だろう。

 正直、私は星野さんが苦手だったが、いつも喧嘩腰で野球をやっていた姿勢は正しいと思う。いまのグラウンドからは、かつての息詰まるような緊張感やギスギスした雰囲気はすっかり失われてしまった。投手なら打者にぶつけるぐらいの気迫で投げろ、と私などが大声で言うことすら躊躇われる。プロ野球がそんな時代だからこそ、騒然とする大相撲で黙々と〝ガチンコ主義〟を貫く貴乃花親方を応援したくなるのだ。

  

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