2024年4月25日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2010年11月2日

政治改革と日本問題
共通点が多い温家宝と胡耀邦

 政治改革と日本問題。この二つの政治問題は保守派と改革派の権力闘争の道具になりやすい政治構造は今も変わらない。対日関係改善に前向きで、劉暁波のノーベル平和賞受賞を支持する知識人からも評価される温家宝と、日本に肩入れするとともに政治改革を遂行しようとした姿勢が学生らの共感を呼んだ胡耀邦。2人の共通点はあまりにも多い。

 反日デモが、地方都市での民主化要求デモに転化するという構造も「80年代後半」と「現在」で相通じる部分がある。さらに一党独裁という硬直した政治体制の下、権力を握ったり、権力に近かったりする既得権益層が、経済成長で得られる果実を独占し、コネも権力もない庶民はいつまでたってもはい上がれない不公正社会のまん延は、天安門事件前夜に似ている。鄧小平は胡耀邦を見捨てたが、胡錦濤は果たして温家宝にどう対応するのだろうか-ー。

 

◆本連載について
めまぐるしい変貌を遂げる中国。日々さまざまなニュースが飛び込んできますが、そのニュースをどう捉え、どう見ておくべきかを、新進気鋭のジャーナリスト や研究者がリアルタイムで提示します。政治・経済・軍事・社会問題・文化などあらゆる視点から、リレー形式で展開する中国時評です。
◆執筆者
富坂聰氏、石平氏、有本香氏(以上3名はジャーナリスト)
城山英巳氏(時事通信社外信部記者)、平野聡氏(東京大学准教授)
◆更新 : 毎週水曜

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