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政治・経済

2017年11月29日

 また、メガバンクの利用者数は1000万人を超えるため、そのデータ量は膨大になる。パスワードを使わずに静脈だけのデータで本人確認するとなると一人当たりのデータ量が大幅に増えるため、セキュリティ管理の上からもハンドリングが難しくなる。キャッシュカードをなくして「手ぶら」化すると、いまのシステムではコスト増になるため、これまでと違うコストの掛からないシステムが必要になる。

 そこで考えられるのが、デジタル空間上にあるクラウドを活用する手法だ。自分で大きなシステムを持たなくてよいためコストを大幅に削減できる。情報データを更新する際に、暗号化するなどの技術が必要になるが、社員40人のベンチャーでこれを実用化した会社がある。

 検索エンジンから出発したリキッド・ジャパン(東京都千代田区)は、古いイメージがあった指紋認証を使って低コストで「手ぶら」認証を広めようとしている。15年10月に長崎県の大型リゾート、ハウステンボス内にある30店舗で指紋を使った認証システムを導入、今年11月からは浅草にあるショップなど60店がこのシステムを導入する。インバウンドの外国人旅行客がホテルのチェックインやショップで行列ができているのを解消するのが狙いだ。

 一度、指紋登録をすれば、日本にある約300店舗で2本の指の指紋を確認するだけで、買い物ができる仕組みだ。クレジットカードともつながっているため、決済も含めたキャッシュレスの「手ぶら」化が完成する。

コストの安い指紋認証でセキュリティの高さも実現

 指紋を読み取るリーダーは海外製の低価格の装置を使っているが、認証を行う頭脳部分はAI(人工知能)が入っており、精度を高めている。指紋の弱点とされる偽造対策としては、用途により安全性を重視して精度の高いリーダーを使うという。その分コストはかかるが静脈と比べるとシステムコストは安い。

 また、大量のデータの保管は、クラウドとブロックチェーンの技術を使ってコストをかけずに分散して配置する仕組みを編み出している。


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