メイドインニッポン漫遊録 「ひととき」より

2017年12月19日

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いであつし (いで・あつし)

コラムニスト

1961年、静岡県生まれ。コピーライター、「ポパイ」編集部を経て、コラムニストに。共著に『“ナウ”のトリセツ いであつし&綿谷画伯の勝手な流行事典 長い?短い?“イマどき”の賞味期限』(世界文化社)など。
 

テント屋さんが作る帆布バッグ

 ぶ厚い木綿生地でできたいわゆる帆布バッグの傑作といえば、米国の老舗アウトドアメーカーのLLビーンのトートバッグが有名である。丈夫さ、使い勝手、シンプルなデザイン。多くの日本のメーカーもお手本にしていて、正直、筆者はこのトートバッグを超える帆布バッグに出会えていなかった。

 そんななか、メイドインジャパンの傑作をついに見つけたのである。大分県の「佐藤防水店」というメーカーが作る帆布バッグだ。なんとも変わったブランド名だが、本来は防水テントを製造する会社で、テント用の帆布生地でバッグも製造販売しているのである。

 

 ともかく丈夫なトートバッグ。これが口コミで評判を呼んで、手作りのために生産が追いつかず今や入荷まで4カ月待ちなのだ。

町の中心部の大分銀行赤レンガ館。設計には東京駅を手がけた辰野金吾がかかわっている

 そこでテント屋さんが作る帆布バッグの傑作を訪ねて、今回は大分を旅してきました。

 大分市街からクルマで10分弱。ワレワレが向かった先は店舗でも工場でもなく、民家が建ち並ぶのどかな郊外の住宅地でひときわ目立つ「ライクカフェ」というお洒落なカフェ。なんとこのカフェは、昭和26年(1951)に創業した佐藤防水店の若き4代目社長、佐藤晃央(てるお)さんが経営しているのだ。

スタッフもお客さんも佐藤社長の人柄を慕って集まる大分の若者のお洒落の発信基地「ライクカフェ」(写真左)にて。社長の佐藤さん(右)と筆者 
Rike cafe. ☎097-560-5603 大分市豊町2-5-1    営業時間:11時~22時 定休日:水曜

 面白いのは、もともと佐藤防水店の店舗だった建物の中だけをリノベーションしているので、外見は昔ながらの町工場なのである。カフェの入り口や窓に日よけテントを使っているのも、いかにもテント屋さんらしい。

 「どこの地方都市も同じだと思いますが、大分って、若い世代が元気がないんですね。僕も本当は前に出て何かをやる性格じゃないのですが、帆布バッグで佐藤防水店という会社を知ってもらえるようになり、これをきっかけに大分の若者をもっと元気にしたい、お洒落にしたいと、このカフェも始めたんです」

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