前向きに読み解く経済の裏側

2017年12月1日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 しかし、自分がリスクを理解していなかったと言っても、結果として損が出れば、それは自分の損になります。金融機関が損失を負担してくれるわけではありません。したがって、そうした難解な商品は、理解できない人は手を出すべきではありません。理解できる商品の中から選んだものを購入しましょう。

 難解な条件でなくとも、リスクの判断が難しいものもあります。「高い金利を支払います。ただし、トヨタ自動車の株価が半分以下になった場合には、満期日には現金を支払うのではなく、トヨタ自動車の株券を差し上げます」といった債券があったとすれば、取引の内容は誰でも理解できるでしょうが、トヨタの株価が半分以下になる可能性についてはどの程度なのか理解できない人も多いでしょう。そうした人は、やはり手を出さず、自分の理解できている物に投資しましょう。

「金融機関が勧めたから」もリスク

 金融機関、特に銀行は信用されていて、銀行員の勧める金融商品を買っておけば間違いない、と考えている人も少なくないようですが、何事にも例外はありますので、要注意です。

 銀行が取り扱っている金融商品は数多く、新入行員は全部をしっかり理解できているか否か、様々なケースがありそうです。それ以上に重要なのは、それぞれの金融商品についての知識はあっても、それが個々の顧客のニーズに合っているのか否かを判断するのは容易なことではない、ということです。少なくとも顧客の年齢、家族構成、勤務先、退職金の有無、他の金融機関で持っている金融資産の概要、等々を把握した上でないと、適切なアドバイスは難しいでしょう。

 今ひとつ、金融機関の職員の多くは、顧客第一で接客しているはずですが、中にはそうでない職員もいると考えましょう。彼らの多くは、ノルマを課せられています。ノルマを達成しないと、上司に怒られたりボーナスを減らされたり出世が遅れたりするのです。顧客のために良い金融商品を勧めるのは当然なのですが、場合によっては手数料率の高い金融商品を勧めてしまう場合もあり得るのです。

 理屈上は、「当店で一番売れている金融商品は、一番手数料率の高い金融商品です。その理由は、その商品を職員が熱心に顧客に勧めるからです」といったこともあり得るのです。実際にそんな店があるとは考えたくありませんが。

  

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