2024年4月26日(金)

ネルソン・コラム From ワシントンD.C.

2010年11月10日

 オバマ大統領自身について言えば、数カ月前から民主党議員や支持者の間で高まってきた懸念は、感情よりも明らかに知性が勝る物腰と、難題や危機に直面した際の反応を巡る議論だ。

 2008年の大統領選の最中、折しも世界経済の崩壊が恐れられていた時は、オバマ氏の才覚や性癖は大きな強みとして歓迎された。

 今回、特に民主党大敗を受けた3日のひどく平板な会見からは、オバマ氏の個性は長所ではなく短所に見えるようになったことがうかがえる。テレビで見ていると、大統領はまるで、学生にひどく失望しながら、それでも自分の教えを理解できなかった学生を、やんわりと、しかし決然と諭すことができると思っている教授のように見えた。

 実際、過去1年間の大部分を通じて、ホワイトハウスと民主党の指導部は繰り返し、オバマ政権が成し遂げた功績を数え上げてきた。それらをプラスだと見なさないか、そんな成果は一切目に入らない国民が増えているという明白な事実には、全く気づかないようだった。

 多くの人が見るところ、大統領は今、政治の世界では、採点するのは有権者であって、教授ではないということを忘れてしまっている。

 共和党、民主党双方にとって危険なのは、米国経済が長引く失業に苦しみ続ける限りは、すべての現職者が責任を問われるということだ(失業率は1年以上にわたって「公式に」10%近い水準で高止まりしており、「隠れた」失業率は恐らく15%近いか、それを上回っている)。

 そして米国経済について言うなら、あくまで政治学の学徒である我々の見るところ、国内の経済成長が労働者の生産性の伸びに後れを取り続ける限り、企業が新たな雇用を創出しないことは歴史が示している(これは広義のマクロ用語での話。本来、真に新しいビジネスこそが新しい雇用を創出する)。つまり、米国の失業率は長い間、かなり悲惨な状況が続くということだ。

 また、飛び抜けて楽観的なサプライサイドのエコノミストを含めて、少なくとも来年、ことによれば大統領選の年である2012年にかけて、経済成長が2%を超えると予想している人を、我々は誰一人知らない。米国の労働生産性の伸びが決まって年間4%近いことを考えると(それ自体は朗報だ)、これは少なくとも次の選挙が一巡するまで有権者の苛立ちと怒りが続くレシピのように思える。

 楽観主義者であれば、共和党も含めた次期議会の指導部は、今から2012年にかけて米国民が仕事に戻る手助けをしたいと望み、否応なく超党派の協調が生まれると考えるかもしれない。確かに誰もが選挙後に協調について話すだけは話した。

 だが、共和党のミッチ・マコネル上院院内総務は、彼が受け入れられる唯一の妥協はオバマ大統領が歩み寄ってくることだと言った挙げ句に、「この国を救う唯一の方法は、2012年にオバマを倒すために努力することだ」とまで断じた。閣議から出てきたオバマ大統領は、超党派の協調に向けて取り組むよう政権チームに指示したと語っている。

 何をすべきか、あるいは、そのための財源をどうするかについて、はっきりそれと分かるコンセンサスが存在しない以上、どちらかの党が言葉を実行に移すと本気で考える人などいるだろうか? 


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