2024年4月26日(金)

ネルソン・コラム From ワシントンD.C.

2010年11月10日

 知覚できるほど確かな景気回復が、一党が相手方を責められなくなる「リスク」になり(ここでは、バランスと客観性を保つ精神から、あえて名指しはしないでおく)、ネガティブキャンペーンこそが昨今の政治の世界で唯一使えそうな貨幣だとすれば、なおのこと実行は見込めないのではないか?

 各種世論調査は、11月2日の投票が「R(共和党)」を支持するものではなく、「D(民主党)」と、多くの国民が感覚として抱く「ワシントン」の特権階級の失敗に対する反対票だったことをはっきり示している。

 このため共和党は、大統領と協調する努力が求められていることが分かっているし、オバマ大統領は、何か一つでも成し遂げるためには共和党に手を差し伸べなければならないことを承知している。

 しかし、このような声明は、恐らくは過去100年間にわたって、いつだって見つけられるものだった。そして、様々なティーパーティー運動の会派から「超党派の精神が必要だ」とする要求が出る一方、それと同じ数だけ、「穏健派」をパージすることこそが正しい道筋だと確信するジム・デミント上院議員のようなイデオロギー信奉者(右派)や市民団体「MoveOn.org」のような「改革派」(左派)がいる。

 過去四半世紀にわたるこうした政治の流れの結果、根っから観念的で、協調性を欠く国政が生まれた。そう、オバマ大統領の最近の発言を聞けばいい。何しろ、自身が今からやりたいと「望んでいる」協調の例として、一貫性のあるエネルギー政策を立案したり、中産階級を脅かす経済問題の現実に真剣に対処したりすることができなかった「超党派の失態」を数え上げたのだから・・・。

 だが、ここに問題がある。1世代以上にわたって、米国の体制指導者は決まって、この国が今、そして将来直面する最も根本的な問題に対処できずにきた。有権者には、それがはっきり見て取れるし、彼らの生活がそれによって苦しめられている。中間選挙では、そのために多くの政治家に「罰」を与えた。

 そう、恐らくは南北戦争が始まって以来初めて、平均的な米国人は今、将来に対する自信を失っている。その原因は至るところに見て取れる。崩壊するインフラ、大多数の国民にとって横ばいか減りゆく給料と手当、21世紀の仕事と適切な訓練・教育を受けた労働力との乖離といったものだ。

 共和党とティーパーティーは今、大風呂敷を広げているが、本当の問題は2つある。彼らは果たして、なすべきことのために「お金を出す」覚悟があるのか? あるとすれば、どうやって財源を確保する気なのか?

 言うまでもないが、それも、各種政策が「社会主義的」だの何だのというナンセンスによって政治的な対話が陳腐化されてしまった今、解決策についての何らかの合意が多少なりとも可能だと仮定しての話だ。

 次期下院議長のジョン・ベイナー氏は様々な脅しを口にする合間に、共和党が近く担うことになる共同責任を理解していると語っているが、政策議題を定めるのはあくまでオバマ大統領だということをことさら強調している。


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