中国はいま某国で

2010年11月22日

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谷口智彦 (たにぐち・ともひこ)

慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授

明治大学国際日本学部客員教授。2008年7月まで3年間外務省で外務副報道官。元日経ビジネス記者、編集委員、ロンドン外国プレス協会会長。著書に『同盟が消える日』(編訳、ウェッジ)など。(2013年1月末日現在)

 台湾を見限り中国と国交を結ぶことにしたら、どっさり褒美をくれた。しかし中国人労働者も大挙流入し、悲鳴を挙げなくてはならなくなった。中米の国コスタリカでの出来事だ。

 中米には、台湾と公式関係をもつ国が結構ある。大地震の後、中国が軍隊を送ったハイチはその1つ。北京がどんな期待を人道援助に込めたか想像に難くない。コスタリカも台湾支持だったが2007年、中国に乗り換えた。

 北京は大盤振る舞いした。まず約束したのが、3億米ドル相当のコスタリカ国債を買うことだ。同国の経済規模は約300億ドルだから購入額はその1%相当となり、小さくない。

 次が今や定番の、競技場建設。中国は首都サンホセに、11年2月完工予定で3万5000人収容、総工費8300万米ドルのスタジアムを建ててやっている。請負業者は安徽省外経建設(集団)有限公司といい、中国のヒモ付き援助(贈答)の受け皿企業だった。

 ところが、まず国債売買からケチがついた。この件、両国の密約だったのに、新聞社の訴えを受けたコスタリカ司法当局の判断により公表され、サンホセ政府の面目を失墜させた。

 次に、中国から来たパトカーが故障した。08年暮れ、北京はコスタリカに中国製のパトカーを200台も贈呈したが、1年後、40台が使い物にならなくなった。補修用部品の入手難に主因があったらしい。

 加えて、競技場の他にも仕事を取った前出企業が、中国から労働者を何百人か入れようとした。コスタリカが難色を示すと北京が激しく反発、その態度の傲然にコスタリカがまた色をなすなど、両国がジャブの応酬に至ったというのが最近の事態だった。

 それでもこの4月、コスタリカは中国との自由貿易協定に調印した。中国が米国に次ぐ交易相手になった以上、この中米一と言われる平和と民主主義の国も、憂うつを忍ぶしかない。

カザフで租借?
広大なステップ平原

 カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領が09年12月明らかにした驚きのプランは、その後続報がないまま、甘辛の小咄になった。

 計画とは、カザフの土地100万ヘクタールを中国に貸し出すという話。

 カザフは面積にして日本の7倍、中央アジア一広い国なのに、1560万人しか人口がない。ステップ平原を耕地にするには人手が足りない。そこで中国に土地を貸し、中国農民を呼び入れて、農業を「アウトソース」する。中国とも合意済みとの話だった。

 日本では、四国の面積が180万ヘクタール。中国が租借する意向とされた面積は、四国の半分強に当たる。

 さすがカザフでは抗議行動が起き、大統領の政敵に当たる人物など、大統領の女婿が中国石油企業から賄賂を得た見返りだろうと、金額(1億7000万米ドル)まで挙げ非難した。

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