Wedge REPORT

2017年12月21日

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石井孝明 (いしい・たかあき)

経済・環境ジャーナリスト

慶大経卒。時事通信記者、経済誌フィナンシャル・ジャパン副編集長を経て現在、フリーで執筆活動を続ける。アゴラ研究所の運営するエネルギー情報サイト「GERP」の編集も担う。

負担の抑制など 課題は残る

長い木材は発電所内で粉砕する(写真・WEDGE)

 「バイオマス発電がバブルを繰り返さないように注意すべき局面だ。国は海外燃料を使ったバイオマスへの関心が乏しかったように思う。国民負担と再エネの中のバイオマス発電の位置づけについて、もう一度議論をするべきではないか」とエネルギーシステムの研究を続ける藤井康正・東京大学大学院工学系研究科教授は警鐘を鳴らす。

 太陽光発電では悪質業者の参入による混乱や、国民負担の急増が起きた。「太陽光バブル」とも評され、経済産業省・資源エネルギー庁はその是正を今行っている最中だ。藤井教授によれば、バイオマス発電の認定が仮にすべて稼働すれば数兆円単位で国民負担が増えるという。

 同省が掲げる再エネ振興策は、15年に決まった長期エネルギー需給見通しを目標に動いている。「30年で発電における再エネ割合を22~24%にする」「FITの買い取り費用を可能な限り抑制する(30年の予想は3・7兆~4兆円)」というものだ。

 エネ庁にとってもバイオマス発電の申請の急増は予想外だったという。「さまざまな議論が行われているのは承知している。これから総合的に検討を行うため、情報の収集、分析をしている」と新エネルギー課の梶直弘課長補佐は語る。また、「事業者には持続可能性への配慮、発電価格の低減努力、そして法令遵守を求めてゆく」と認可した事業者の運用にも目を光らせるという。

 目標を定め、国民負担を抑制しながら、再エネを普及させる必要性は一定程度あろう。バイオマス発電は衰退に直面する林業を活性化させるという一面もある。また、自然環境に左右されることなく安定的に発電できるため、変動の大きい太陽光や風力の調整役にもなる。

 ただし、導入にあたっては持続可能性の検証が必要だ。長期的にはFIT に依存しなくても経済的に自立できる発電事業が求められている。しかし、バイオマス発電は燃料費が運営費用の大半を占めるため、低コスト化には限界がある。

 FIT終了後、乱立したバイオマス発電所の大量閉鎖や、燃料が安い石炭火力発電所に改造されCO2を排出するという本末転倒の結末など、あってはならない。そして日本の林業との協力を前提に、バイオマス発電のあり方に議論を深めていくべきときではないだろうか。

  
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◆Wedge2017年10月号より

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