World Energy Watch

2017年12月6日

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EVトラックには予約金が必要

 11月16日テスラはEVトラックを発表したが、イーロン・マスクが明らかにしたのは、加速性能、1回の充電の走行距離が満載前提で300マイル(約480キロメートル)と500マイルの2種類の電池性能が用意されること400マイル走行の充電には新型の‘メガ・チャージャー’を利用すると30分しかかからないこと。さらにはディーゼル車との比較で経済性に優れていることだった。引き渡しは2019年からとされた。電池の性能どころか、価格すらも明らかにされなかったが、予約金は5000ドルと発表された。

 ディーゼル車との比較では、1マイル当たりのコストがディーゼル車の1.51ドルに対し、EVトラックは1.26ドルと説明されたが、その前提は表-1の通りだった。

 

 発表内容から、500マイル走行の電池性能は1000kWh、モデル3の標準電池50kWhの20倍の能力に相当すると推測された。また、メガ・チャージャーの充電時間は現在のテスラの充電設備の10分の1の時間しかかからない性能と推測され、一部からは実現可能か疑問の声も出された。

 発表の翌週には、テスラは価格を発表した。300マイルのトラックが15万ドル(1650万円)、500マイル車が18万ドル(2000万円)、装備が充実したファウンダーズ・シリーズが20万ドル(2200万円)だが、テスラはなんと予約金を増額したのだ。300マイル、500マイル車は2万ドル、ファウンダーズ・シリーズは全額の20万ドルの前払いが必要だ。

 テスラは予約台数を発表していないが、小売り最大手のウォルマート、国際輸送のDHL、大手引っ越し業者などが予約を行ったと発表しており、予約台数は200台を超えたとされている。今のリチウムイオン電池の価格であれば、500マイル車の電池には2000万円必要になる。充電時間の驚異的な短縮を実現した電池性能とコストにおいてテスラは大きな技術革新を実現したのだろうか。

スポーツカーにも予約金が必要

 テスラが最初に売り出した車は、英国のスポーツカー・メーカー・ロータスと組み製造したロードスターだった。最高速度は時速125マイル、0から60マイルまでの加速は3.7秒だった。1回の充電で244マイル走行可能。2008年から2012年まで生産が行われた。

 EVトラックと同時に発表されたテスラ2代目となるロードスターは世界最速とされ、0から60マイルまでの加速に1.9秒、最高速度時速250マイル。200kWhの電池により620マイル走行可能とされている。引き渡しは2020年以降になるが、発表と同時に予約が開始された。装備が充実したファウンダーズ・シリーズ1000台限定は、まず5000ドルをカードで支払い、10日以内に24万5000ドルを振り込む必要がある。標準車の予約金は5万ドルなので5000ドルカード決済後、10日以内に4万5000ドルを振り込む。

 予約開始後2週間以上経つが、早くて3年先に引き渡される車に3000万円近くを支払う富裕層はそうはいないとみえ、未だに予約は受け付けられている。ファウンダーズ・シリーズが完売すれば、それだけで2億5000万ドルの収入になるが、生産の3年前の全額支払いは、通常ではありえない取引だ。テスラはなぜ多額の前金が必要なのだろうか。

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