実践者・中村龍太が考える「カシコイ副業」

2017年12月14日

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中村龍太 (なかむら・りゅうた)

複業家・ポートフォリオワーカー

1964年広島県生まれ。大学卒業後、1986年に日本電気入社。1997年マイクロソフトに転職し、いくつもの新規事業の立ち上げに従事。2013 年、サイボウズとダンクソフトに同時に転職、複業を開始。さらに、2015 年には NKアグリの提携社員として就農。現在は、サイボウズ、NKアグリ、コラボワークのポートフォリオワーカー。2016年「働き方改革に関する総理と現場との意見交換会」で副業の実態を説明した複業のエバンジェリストとして活躍中。

 ノミの実験とは、何か? ノミの実験をご存じない方に説明しよう。ノミは通常2mの高さまでジャンプするらしい。しかし30cmの高さの箱を被せるとどうなるか? ノミは最初、天井にぶつかっても2mの高さを飛ぼうと努力するが、何度挑戦しても30cmしか飛べないと30cmしか飛ばなくなるそうだ。すると、箱を外して高く飛べるようにしても、もう30cmしか飛べない。

 まさに、会社が箱のようなもの。そこでモヤモヤせず生きていけるのであれば、それは、それで良いと。しかし、僕の場合は違っていた。だいたい、死ぬまでマイクロソフトに働けるとは思っていない。なぜなら、毎年、高い目標を達成する体力が続かない。体力があったとしても、本部長、ジェネラルマネージャーなどの出世に興味がない。何か自分の成長を意味づけることがあるかもしれないが、マイクロソフトの中で働き続けることには、そうとうモヤモヤした将来があるように思えていた。

すべての人に「副業」はいらない

 このサイトを見ている読者のサラリーマンはどうだろう。会社の上役に役割をもらいそれを担っていく。役割をこなし上役から評価され、褒められ、金銭が支払われる。一応、給与テーブルがあり、「君はここだよ」、「今度はここを目指そう」と言われ、真面目な日本人は素直に挑戦する。悪いことではない。給与テーブルはあるものの、結局、上役との相性で評価が決まるケースも多い。それでも日本人は器用なので、我慢して、学んでこなしていく。

oatawa/iStock

 今年、ある大手企業で「働き方改革」を考えるワークショップを受け持った。グループに分かれて、自分自身の「働き方」の理想を議論した。そこで40代の社員がこんな発表をした。「えーと、私の理想は、現実にはできていない、奥さんや子供と一緒に夕食を食べることです」。そのためのアクションは、「18時に必ず退社する」、「退社を忘れてしまうことがあるので、息子から携帯に電話してもらう」、「そうすれば、理想を達成できる」という素敵な発表…と思いきや、「実は、会社から辞令をもらい、来月から海外単身赴任です」と、すごくうれしそうな顔で宣言した。さっきまで発表していた理想はなんだったのか? 現実には、なんの問題もなく、「I LOVE カイシャ」が存在する。

 僕は「本業」だけでモヤモヤせずに働ける機会があれば、それはそれで幸せだと思う。僕もそうだったから。すべての人に「副業」はいらない。

  
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