2024年4月19日(金)

進化する「食」

2017年12月9日

 このように、表示の仕方はいろいろあっても、糖質や糖類が完全にゼロではないものもあることを忘れないようにしましょう。飲料の多くに使われている果糖とブドウ糖を主成分とする甘味料の「ブドウ糖果糖液糖」や「果糖ブドウ糖液糖」には、砂糖と同じエネルギー量が含まれます。また、腸内環境を整えるオリゴ糖やスポーツ飲料に使われるデキストリン等の多糖類にも同様のエネルギーが含まれるため、商品を選ぶ際には1本あたりのエネルギー量をチェックしてから購入するようにしましょう。

 また、ここ数年、糖の一部が小腸で吸収されないためインスリンの作用を受けないことから血糖値に影響を及ぼさない糖アルコールを使った飲料も増えています。たとえば、砂糖の半分のエネルギー量の「マルチトール」や虫歯予防に有効な「キシリトール」、カロリーゼロの「エリスリトール」等がこれにあたります。糖アルコールは、砂糖に比べてエネルギーが低く整腸作用がありますが、人によっては下痢を起こすこともありますので注意が必必要です。

 脂肪の吸収を抑え、「糖類ゼロ」「カロリーゼロ」をうたった特定保健用食品(トクホ)のコーラ系飲料でお馴染みの、難消化性デキストリンを使った飲料も爆発的なヒットを記録しています。難消化性デキストリンは、水溶性の食物繊維ですので、血糖値の上昇や脂肪の吸収スピードを抑える働きがありますが、甘味を出すために甘味料(アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース等)を複数使用していることや、糖アルコールと同様にお腹が緩くなる可能性があることを忘れないようにしましょう。

 「カロリーゼロ」だからといって高カロリーのハンバーガーや揚げ物などと一緒に摂ることを推奨するような宣伝を見かけますが、食べ物やアルコールで過剰にエネルギーを摂取してしまえば、ゼロカロリー飲料を飲んでも減量の効果は期待できませんので、お間違えのないように。

飲み物との上手な付き合い方

 では、さまざまな商品が店頭に並ぶなかで、何をどのように選べばよいのでしょうか。まず、糖質の種類にかかわらず、果実飲料や炭酸飲料、乳飲料、コーヒー飲料、機能性飲料などの清涼飲料は、基本的にアルコールやおやつなどと同様に嗜好品と考え、1日に摂取するエネルギーの10%程度(第6回「おやつにはヨーグルトやナッツ類がおすすめ」参照)に抑えるようにしてみてはいかがでしょう。デスクワーク中心の男性であれば1日230kcal、女性であれば170kcalになります。

 たとえば朝食に、果物と豆乳を使ったスムージーを1本(330ml)飲むと約130kcal。仕事の合間に飲むコーヒーはブラックにして1本(500ml)0kcal、おやつ代わりに免疫力を高める乳酸菌飲料を1本(112ml)約50kcal、そして夕方リフレッシュを目的にレモン果汁入りの無糖炭酸水を1本(500ml)0kcal、残業の合間に眠気をスッキリさせるカフェインやビタミン類の入った炭酸飲料1本(100ml)57kcaを飲むと、これで237kcalとなり、成人男性の1日の嗜好品の目安量の上限になります。

 おやつに甘いものを食べたり、晩酌をする場合はその分のエネルギーを引いてください。となると、仕事中の飲み物は水やお茶に切り替えて調節しましょう。食事やおやつの制限をしているのにダイエット効果が現れないという場合には、飲み物が原因かもしれません。ちょっと見直してみてください。

(編集・鮎川京子)

  

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