前向きに読み解く経済の裏側

2017年12月15日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 詐欺師に大切な老後資金を騙し取られる高齢者が少なくありません。高齢者は判断力が衰えている場合も多く、平均して見れば結構な金融資産を持っているため、絶好のターゲットとなっているわけです。しかし、若者も、詐欺師に狙われている事を自覚すべきでしょう。

 「たいした金も持っていない俺なんか、詐欺師が相手にしてくれないだろう(笑)」などと考えるのは危険なのです。騙されたことがない若者は、警戒心が薄いので、少額ながら容易に獲物にありつけるからです。気を付けましょう。もちろん、高齢者と若者以外も安心してよいわけではありませんから、全員が詐欺には気をつけましょう。筆者も気を付けます!

(Aleutie/iStock)

相手の視点で物を見ることが重要

 「相手の立場に立って考えなさい」というのは、道徳の先生がいじめっ子に向かって言う言葉ですね。「やさしい気持ちを持ちなさい」という文脈です。しかし、ビジネスの世界では、全く異なります。「ライバルが一番嫌がることをしましょう」というわけです。相手の主要顧客にターゲットを絞って値下げのダイレクトメールを送る、等々ですね。

 将棋やチェスの対戦では、自分が好きな駒を使うのではなく、相手の一番嫌がる駒を使いますね。それと同じことです。じつは、それは易しいことではありません。下手な将棋指しである筆者は、対戦相手がトイレに行っている間に相手の席に座ってみたことがあります。その瞬間、何をやられたら困るのかが閃きました(笑)。プロは、実際に相手の席に座ってみなくても、多分一番嫌な手が見えるのでしょうね。

 詐欺師を見破る時も、最も有効なのは相手の視点で物を見ることです。「絶対に儲かる商品」を売ってくれるという人が現れたとします。「自分が絶対に儲かる商品を持っていたら、見知らぬ人に売ってあげるだろうか」と考えてみれば良いのです。そうすれば、その人は極度のお人好しか詐欺師である、ということに気付くでしょう。

警察官等を名乗る電話は、一度切ってから番号を調べてみる

 「銀行です。あなたの個人情報が盗まれているようなので、警察から問い合わせの電話が入ると思います」という電話の後で、「警察です。クレジットカードの番号と生年月日を教えて下さい」といった電話がかかってくることがあります。当然2人は詐欺師のグループなわけですが。そういう場合、警察からの電話だと信じて即答してしまう人が多いようなのですが、折り返しましょう。

「クレジットカードが手元にないので、探してから折り返します」と答えると、相手は「では○□□番までお願いします」と言うはずです。これが詐欺師の事務所の番号なわけですね。その番号をメモしたあとで、警察署の番号を調べて、本物の警察署に電話しましょう。当然、メモした番号を報告するのです。

 怪しいと思ったら、即答せず、調べてみましょう。インターネットを調べれば、現在どんな詐欺が「流行っている」のかがわかります。自分のケースに酷似していれば、それは怪しいと気付けるわけです。

 詐欺師は、相手を信用させてから騙す場合が多いようです。たとえば銀行員を名乗る人物がまず電話をして警察から電話がかかってくる旨を伝えると、いきなり警察を名乗る電話がかかってきた場合よりも信じる人は多いでしょう。

 状況は全く異なりますが、10万円の偽物を売りつけた後で20万円で別の詐欺団メンバーが買い戻す事で、相手を信用させる手口もあるようです。「今度は300万円の商品で大きく儲けましょう」と持ちかけるわけです。気を付けましょう。

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