2024年4月25日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2017年12月20日

韓国が北の「核の傘」に入る日

 半島を南北に分かった地政学的・国際的枠組みは、ともかく安定的に機能、推移してきた。にもかかわらず、「事大」政権の北朝鮮は、中国の意向を顧慮せず、アメリカとの対等交渉という「交隣」をめざし、「交隣」政権の韓国は、アメリカの意向に背いて、経済的に依存する中国に「事大」せざるをえなくなっている。こうしたパラドクスが、東アジアの不安定をもたらしているともいえようか。しかし同時に、そうした運動律も歴史に根ざしたものであるため、南北政権の動きがなかなか収束しないのであろう。

 韓国の文政権はそんななか、北朝鮮との対話・融和につとめている。その動きは日米から疑われ、金正恩政権から相手にされず、いまのところ「迷走」にしかみえない。

 しかしそもそもが一卵性双生児の南北である。かつて文大統領が記し、またおそらく今も望んでいるように、南北が一体となる可能性も皆無とはいえない。

Goldcastle7/iStock

 南北政権はすでに、米中のいずれに対しても、一定の距離を取っている。両者が一体となれば、韓国でも取り沙汰される朝鮮半島の中立化が、現実のものになりかねない。しかも北が核を放棄するとは思えないから、韓国が事実上、北の「核の傘」に入ってしまう事態もありうる。

 果たしてそうなったとき、一衣帯水・列島に住む日本人はいかに行動すればよいのか。そこまで考えなくてはならない時世になってきたようである。

  
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