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2017年12月15日

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チャイナ・コリンズ、「ザ・ホワイ・ファクター」シニア・プロデューサー

「仕事を始めたばかりのころ、頭の中に考えが浮かんでも、それを口に出す自信がなかったのを覚えている」とメンデルソン氏は話す。

「そうしたら、ほかの誰かが私の頭の中にあったポイントを発言している。たいていは男性。それで私は自分自身に腹を立てたものだ」

フェイスブックの欧州・中東・アフリカ地域担当バイス・プレジデントの、ハイテク業界で最も力のある英国人女性とされている。

メンデルソン氏は数百人のチームを率いており、話は「オープンで簡潔、明確に」すると話す。しかし、女性は今でも職場でコミュニケーション面での大きな問題に直面しているという。

「女性は邪魔されたり、上から言葉を被せて遮られたりすることが多い。実は女性が話せないような状況にしている要素が、職場で起きているんじゃないかと思う」と、メンデルソン氏はBBC番組「ザ・ホワイ・ファクター」で話した。

メンデルソン氏が挙げた事例は、言語研究によって裏付けされている。一般的に男性より女性の方がよく話すと信じられているにもかかわらず、ほとんどの「対話時間」を占領しているのは、実のところ男性だということが、複数の研究で一貫して示唆されているのだ。

会議の出席者に女性の方が多くても、それは変わらない。書籍『The Silent Sex(静かなる性別)』によると、調査では、女性が6割を占める集団の中でさえ、男性は女性をしゃべり負かすことが分かった。女性が男性と同じくらい話したのは、女性4人に対して男性1人という比率になった時だけだった。

他の公開討論でも、概して男性の方が自分の意見を口にするものだ。

ニュージーランドのビクトリア大学ウェリントンで言語学を教えるジャネット・ホームズ教授の分析によると、平均すると、公開の会議の場で投げかけられた質問の4分の3が男性からのものだったという。観客に占める男性の割合は3分の2だけだったにもかかわらず、だ。

観客の男女数が同じだったときは、男性からの質問は3分の2近くを占めた。

積極的になる

それでは、女性はどうすれば自分たちの意見に耳を傾けてもらえるのだろうか? ネットをさっと検索するだけで、多くのアドバイスが見つかるだろう。

その多くは、女性は言葉遣いの面で積極さが足りないという考えを軸にしたものだ。ワシントンポストは、「会議中の女性」の言葉自体が、独立した言語だとまで表現している。

かつてアップルやグーグルの従業員だった人物が書いて広まったあるブログは、女性に対し、「just」(ただ単に)という言葉を使うのをやめるよう助言している。この言葉が、男性よりも女性によく使われる、「従属や服従を微かに伝えるメッセージ」だというのだ。

また、シャンプーのブランド「パンテーン」は2014年4月、女性にあまり謝り過ぎないようにと促す広告を発表した。広告は「女性はなぜいつも謝っているのか」という疑問から始まる。

女性たちは申し訳ないと思っているのだろうか?

オックスフォード大学で言語を教えるデボラ・キャメロン教授によると、真実はもっとずっと複雑だ。

ほとんどの言語学者は、性別を含むいかなる社会的区分も言葉使いに影響を与えるものだと認めるものの、キャメロン教授は、男性と女性の話し方を一般化して論ずるのは不可能だと話す。

「ほとんど全ての文化において、これに関する固定観念や信念がある」とキャメロン教授は言う。「興味深いのは、その違いが実際何なのかについて意見の食い違いがあること」。

「中には、女性の方が男性よりずっと率直だと考える文化があって、そこでは女性があまりにも率直すぎて失礼でさえもあると思われている」

「欧米での固定観念は逆で、女性は臆病で外交的であり、失礼なことや衝突を避けるというものだ」

キャメロン教授とホームズ教授いずれも、こうした固定観念はあくまでも固定観念に過ぎないと話す。実際には男性と女性のどちらも、文脈や本人が伝えたいものによって、典型的に男性らしいとか女性らしい言葉の側面を利用しているのだ。

「男女間と同じくらい、男性同士もしくは女性同士にも違いがある」とキャメロン教授は指摘する。

有能だけど嫌われ者

しかしながら、女性にとって「男性的な」言葉を使うには代償が伴いかねない。

「心理学者が能力好感度問題と呼ぶものが存在する」というのはキャメロン教授だ。「有能だと判断された女性は、好かれにくい」。

ハイテク部門での業績評価に関する米国の研究では、女性は男性と比べ、性格や態度についてずっと否定的なフィードバックを受けやすいことが分かった。

「偉そう」や「不快」、「キーキーうるさい」、「攻撃的」といった言葉が女性に対し繰り返し使われたが、男性にはなかった。

ニコラ・メンデルソン氏は、仕事を始めたばかりのころこうしたフィードバックを受けたが、無視することを学んだと話す。

「こうした言葉は、男性と女性に対して違う使われ方をする。女性には通常ネガティブに使われるが、男性にはおかしなことに、ポジティブに使われる。なので、これは偏見の事例だと私は考えている」

この偏見が理由で、キャメロン教授は、もっと直接的になれという助言に従うのは、実のところ逆効果になりかねないと主張する。

「業界を挙げて、『話し方を変えて自分に力を与えれば、男性のように扱われるだろう』と言っている。でも残念なことに実際はそうではなく、女性は男性と同じようには判断されないものだ」

「自分の存在を主張する女性は、偉そうで攻撃的だと判断される。なぜなら、それは女性らしいふるまいはどうあるべきかという固定観念に反するから。なので、単に男性を真似るのが正解ではない」

それなら、正解は何なのだろうか?

「この問題に関しては、女性と同じくらい男性も重要だ」とメンデルソン氏は答えた。「この点で男性は協力者になり得るから」。

「男性が、女性を積極的に支援する必要がある。男性が『後押しするから。君にできると信じているから。どうしたら力になれる?』って言ってくれる必要がある」。


本当か嘘か?

  • 女性は男性よりしゃべる――長いことこう信じられてきたにもかかわらず、男女が1日で使う単語数はほぼ同じで、さまざまな文脈を通じて男性の方が会話を占める傾向にあることが、調査で一貫して示唆されている
  • 女性の方が男性より謝ることが多い――女性の方が多く謝ることを示す証拠はない
  • 男性の方が女性より話を遮ることが多い――これは本当で、言語研究で裏付けられている
  • 男性の方が攻撃的な言葉を使う――ノー。男性と女性はさまざまな言葉の表現を使っており、性別による違いと同じくらい、個々人の男女間でも多くの違いが存在する

(英語記事 Helping women ensure their voices are heard

提供元:http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-42362923

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